第3話 掲示板にて
ログアウトした後、ふとあることに気付いた。
「そういえば妖精さんの名前聞いてないじゃん」
さすがはボッチである。どういうふうに仲良くなるのかわかっていらっしゃらない。
まあ、今更そのことを考えても遅い。なのでとりあえず僕はパソコンをつけた。それから、お目当のMatchless Onlineの掲示板を見つた。
(もうこんなに書き込みがあるのか)
開始して1時間たった現在、すでに500もの書き込みがあった。どんだけやってないやつがいるんだって話ですよ。まあ、持ってないやつもいるだろうけど。
とりあえず、書き込んであるものは、片っ端から見ていくことに。
見ていくと全然知らなかったことが、けっこうでてきた。
例えば、「街の名前はファスム」とか、「マップは街とその周辺までしか行けない」とか、「俺らの実力だとBランク相当らしい」とか、「ギルド内でジョブチェンジができる」とかだ。
(いやー、みなさん情報が早いし、進めるのも早い。それに比べて僕はまだ全然進んでない。まあ、攻撃できないから、あまり進めないってのもあるけど。これから、もっとやればいいさ)
そして、見ていくとステータス振りの話題になった。ほんとみなさん、遊びだなと思う様な振り方をしている。攻撃に全振りとか、魔攻に全振りしている人がけっこういた。他にも、防御、魔防に半分ずつ振っている人もいた。で、見ている中で一番多いのは、やはり、全部のステータスに均等に振っているものだ。人気からではなく、無難にってことだと思う。
(やっぱり、こういうところを見ると参考になる。まあ、変える気はありませんけど。ん?これはなんだ?)
ある書き込みがすごく気になった。
『やっぱり、ステ振り変えた方がいいかな?』
『それは、自分次第なんじゃ……』
『やっぱり攻撃系がないとこういうゲームをしてる実感がない』
『攻撃系のステ振りじゃなくても、普通に攻撃はできるんじゃないの?それに攻撃系がなくても楽しめるだろ?というか、防御職に失礼だろ』
『いや、そうじゃなくて攻撃系がないとレベルアップすらできないんだよ。それに俺は防御職だ』
『どういうことだよ』
『いやね、友人にレベリングを手伝ってもらおうとして、実際やってみたんだが、全然レベルが上がらないんだよ。他の奴らは上がってるのに。それに友人も振り分けてないステータスは0のまんまって言ってたし』
『それで変えたいと。まあ、ある程度振るのはいいんじゃないの』
『でも死ぬのはいやじゃん?』
だいたいの話の流れを取り上げるとこんな感じになる。
僕の思考はしばらく止まっていた。考えることを放棄したわけだ。それだけ衝撃のことだったのだ。
しばらくして、少し落ち着いてきたのでまとめてみることに。
(つまり、攻撃系のステータスがないと攻撃ができない→だから経験値が入らない→そのためレベルが上がらない→つまり\(^o^)/でも結局振り分けてないステータスは上がらないからそんなことどうでもいいんだけどね。まじで終わった。僕の初めてのVRMMOはこれにて終了)
そう、俊のステータスは俊敏とMPとHP以外はすべて0。そしてHPも1。しかもやり直すことができない。なぜなら不死があるから。
最初あんなに勝ち振りだと言っていたが全然そんなことはなかった。それよりも最低の振り方である。
(はあ、詰んだ、詰んだよー、詰んだんだよー!レベリングはできない。そもそもレベルを上げる必要さえほとんどない。しかも攻撃はできない。振り直しもできない。まじで詰んでるわー。もうやだ)
でも僕みたいなやつが出ないように、書き込みだけは忘れない。
『俊敏に全振りすると不死が手に入る』
と。どうなるかはわからないが。まあ、いいだろう。というか、次からは絶対に掲示板なんか見ない。絶対悪いことしか起きないから。
こんなときは、ふて寝に限る。ということで夜も遅いからもう寝る。
あーあ、本当はβテストが終わるまで学校を休むつもりだったのに。詰んだのなら仕方ない。
なお、俊が寝た後も掲示板は続いていっていた。不死のくだりは結構早く収束した。それからは街のシステムについての考察がなされていた。
そして、俊がこのシステムに気付くのはまだまだ先のお話。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます