第198話 夏イベント 4
ようやく落ち着き、準備も終わり、僕たちは海に飛び込んだ。
今回はゴーグルを装備しているため、視界がボヤけたり、目にしみるということはなかった。
服装は、ローブと上着を脱いだだけにしておいた。ズボンも脱いだ方が良いかもしれないが、それは恥ずかしいので脱がないことにした。海パンを借りたら楽かもしれないが、そこまで頼るわけにはいかなかった。
海には武器とアイテムポーチだけを持っていった。正確には、アイテムポーチに見せかけた単なる袋である。今までは、ローブで手元を隠して見えないようにしていたが、それができないため、見た目以上に物を入れられるアイテムポーチってことにして、ポーションを複製して渡しても怪しまれないようにしたかったのだ。
海に入ると、見える範囲で何体かモンスターが見えた。
僕は他のプレイヤーが助けて欲しい時だけ協力すれば良いと言われ、それ以外はソロで良いということになっていた。でも僕は先頭に立ってモンスターを倒しに行くのは目立って嫌だったので、他のプレイヤーについて行き、最初は様子を見ることにした。
様子を見ていると、魔法を使っているプレイヤーはいなかった。でも考えてみれば、当たり前のことだと思った。例えばだが、水中で火がつくのかとか、雷を放つのどうなるのか考えれば、使えないと思ったのだ。魔法の中には使えるものもあるかもしれないけど。
そのため、全員が武器を持っていた。
それが理由かはわからないが、水中のモンスターは弱いらしく、攻撃のステータスが低くてもソロで倒せてしまうほどらしい。簡単とはいかないが、少しでも攻撃があれば倒せる。まあ、0だとダメらしいけど。
しばらく様子を見ていたが、特に苦戦しているプレイヤーはいないみたいだった。それに他のプレイヤーは全員戦闘を始めているようだったので、僕も始めることにした。
しかし、その前に息苦しくなってきたので、息継ぎをするために急いで浮上した。
息継ぎをして再び潜った僕は、できるだけ他のプレイヤーから離れたところで戦闘を始めるために移動した。泳いで移動するときは意外にも暴走することはなかった。そのため、移動で気をつける必要がない。
十分離れた海底に近いところにいるモンスターを見つけ、そこに向かった。
僕はいつもようにテレポートを使い、ロングソードでモンスターを攻撃した。
モンスターは倒せたが、水の抵抗力のせいで陸上のように腕を動かせず、ロングソードだけが先行してしまい、落としてしまった。
僕はすぐに誰かに見られているかあたりを見回した。あたりには誰もいないようで安心した。その後、落としてしまったロングソードを拾った。
僕は、やっぱり他のプレイヤーから離れたことは正しかったと思った。手からロングソードを落とすとか、不自然すぎるため、本当に人目がなくて良かったと思った。
その後、水の抵抗力に慣れるため、何度もテレポートを使うことにした。
再び息苦しくなってきたので、急いで浮上した。しかし、海底近くにいたため、海面から顔を出すだけでも時間がかかってしまい、息が荒くなっていた。
僕は深いところまで潜り、水中でテレポートを使いモンスターを倒し、息苦しくなると浮上を繰り返していた。たまに他のプレイヤーの近くに行き、様子も確認した。しかし、困っているプレイヤーはおらず、手伝うことはなかった。
しばらく続けていると、ヨタがこちらに来て、今日はここまでにして帰るから船に戻るように言われた。僕はもう少しここでモンスターを倒していたかったが、テレポートを使えばまた来れると思い、ヨタの言葉に従い戻った。
帰りの船で明日も来るから、一緒にどうかと誘われた。
僕も行きたかったので、すぐに答えようとしたが、その後に「明日はボスに挑むからそれを手伝って欲しい」と言われ、考え直した。
1人でやるのは良かったが、他のプレイヤーと協力するのは慣れてないため、迷惑をかけると思ったのだ。それは結とヨタを手伝ったときにわかった。
それにテレポートを使えば良いだけなので、無理に協力する必要はないという結論になり、その誘いは断った。今日見た感じでは、僕が協力することもないと思ったからだ。
その日はそれで解散し、僕は店に戻り、ログアウトした。
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