第192話 3人でダンジョン10

休憩所を過ぎた後、劇的に罠が減ったように感じた。その代わりにモンスターが今までとは比べものにならないくらい多く出てきた。そのため、少しずつ僕の出番が増えてきた。まあ、出番と言ってもポーションを渡すことだけなんだけど。でも、僕はそのことでようやく役に立てたと実感できた。


とはいえ、休憩所のすぐ後くらいは僕の役目もあまりなかった。


それは、2人がうまく立ち回っているため、攻撃を受けることがほとんどなかったからだ。それにモンスターのレベルもあまり高くなく、2人は難なくモンスターを倒していった。


それでもモンスターの数が多くなったりすると攻撃を完全に回避することは難しく、攻撃を受けることがあった。


モンスターのレベルの低い時はそれでも問題はなかったが、上層に行くとモンスターのレベルが上がり、モンスターの数も増えていった。回避しきれないことも多くなり、無視できないダメージになることも多くなった。


そのため僕の役目は増えていった。


やはり数が多くなると手が回らなくなるらしく、少しずつペースは落ちていった。



そして、ある程度進んだところで、結が話しかけてきた。


「零、こんなにポーション惜しみなく使って大丈夫なの?いざという時になくて困るんじゃないの?」


「ん?そうなのか?」


ほとんどはヨタが使っているので、そこは気になるのか、ヨタが確認してきた。


まあ、確かに1人で持てる量は決まってるからな、心配になるのもわかるが、複製ができる僕には関係のないことだ。ポーションを1つさえ持っておけばMPがなくならない限り、無限に増やせるから問題ない。ただ、そのことを言いたくないので、テキトーに言葉を濁して話すしかなかった。


「問題はないよ。まだまだ残ってるし」


僕は心の中で、「MPが」ということを付け加えておいた。


「そう、それなら良いんだけど」


それでも、結は心配らしい。まあ、またここまでくるのも嫌だし、2人も早く攻略したいってこともあるから、心配になるのもわかる。


残っていることを証明したいが、ポーションをばら撒くくらいしか思いつかない。別にばら撒くことは問題ないし、証明になるなるなるが、ばら撒いた後が大変だ。無限に複製できるため、ばら撒いたポーションを回収する必要はない。


しかし、それはあまりに不自然すぎる。


そうなると、回収せざるを得ないが、かなり時間がかかってしまう。それは避けたいので、ばら撒くという方法はできなかった。


袋とかに入れて見せれば良いのかもしれないが、そんな袋に入っているだけの量で足りるのかと聞かれそうだ。


それなら、曖昧にしておいた方が良いように感じた。それに、僕が自信満々に言えば、信じてくれるだろう。


「大丈夫だよ。そう簡単になるなることはないから」


「わかったわよ」


納得はしてないようだったが、それ以上聞かれることはなかった。



その後も、僕たちは惜しみなくポーションを使いながら攻略していった。

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