第189話 3人でダンジョン 7
それから、僕が先頭に立って進んでいた。
僕が先頭に立って進んでいると、明らかにさっきよりも罠を発動させる回数が多くなっていた。おそらく結とヨタが罠の多いところをわざと選択しているんだと思う。どこに罠があるかわからない僕が悪いから、2人を責めることはできない。もしかしたら、たまたまさっきより僕が発動させているだけかもしれないからだ。2人を責めるなら、自分で罠がどこにあるかわかるようになってからだ。
僕は結とヨタがわざとやっているとは思えなかった。それは、罠を発動させれば、2人が罠を回避したりしなければならないし、ダメージを受ければ、回復もしなければならない。そんな、わざわざ自分たちが不利になるようなことをするとは思えなかった。
それでも、僕が結とヨタの前で罠を発動させているため、2人が先頭に立っていたときよりも回避しやすいらしい。僕はそんなことはなく、ほぼ全部回避できず体で受けてた。ダメージは一切ないが、気分が良いものでもないため、できるだけ罠は発動させたくなかった。
罠を体で受ける度、罠を発動させたくないと思うようになり、慎重に進むようになった。まあ、慎重に進んだところで、どこに罠があるかなんてわからないため、あまり変わらなかった。
それに、慎重に考えながら進んだりしても、僕が予想もしないようなところに罠が仕掛けられていて、僕の感が全く通用しなかった。
ただ、先頭に立って進むことで気づいたこともあった。
「なあ、気になったんだが、なんでモンスターに遭遇しないんだ?これだけ進んで行けばモンスターに遭遇してもおかしくないだろ?」
そう、僕が先頭になってからは一切モンスターに遭遇していなかった。僕が先頭じゃなかった時もあまり遭遇することはなかったけど、だんだんと遭遇しなくなってるような気がする。
「ああ、それは、このダンジョンの下層はモンスターがほとんど出ないんだよ。なんでも、罠が多過ぎて、モンスターが罠を発動させるとかで、下層にはほとんどモンスターが出ないようにしてあるらしい」
「それって完全に罠の量間違っているよな」
僕はヨタの話を聞いてそんなことを思った。
「まあ、否定はできないな。それでも、上層に行けばモンスターが増えて罠は減るから、今よりは楽になるぞ」
「それじゃあ、下層はダンジョンというより迷路だな」
「ああ、確かに言われてみれば、そうだな。そういえば、下層は駆け抜けるのが普通だから、攻略って感じはしなかったしな。こんなに時間かかったのは初めてだし」
「すみませんでしたっ!」
自分のせいで遅くなっていると知り、僕は結とヨタの方を向き謝った。これでは、僕は完全にお荷物である。2人より早く始めたのに、こんなでは話にならない。
「こんなにゆっくりやるのも悪くなかったし、楽しかったから気にするなよ」
「そうだよー。ゲームなんだから、そんなに気負う必要はないよ」
と、ヨタと結は僕のことを気遣ってか、そう言ってくれた。
「結ぃ、ヨタぁ」
僕は、2人の優しさに感極まって泣いてしまいそうになっていた。普段は、こんなことはほとんどないため、それが変であったが、それ以上に嬉しかった。
「まあ、できだけ気をつけては欲しいけどね」
「はいっ、これからはもっと気をつけます!」
僕は感極まって感動してため、普段より力強くそう言った。
ただ、そう宣言したものの、その後も今までのように罠を発動させまくって2人には怒られてしまった。
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