第188話 3人でダンジョン 6

「罠を感知するスキルって何?」


僕は、その聞き慣れない単語が何か知るために聞いてみた。


「何って、知らないのか?」


「?ああ、知らないけど?」


僕は正直にそう答えた。


「知らないって、本当にダンジョンに入ったことあるのか?」


「だからあるよ」


さっきも言ったことをまた聞かれた。僕は少し面倒だと思いながらもちゃんと答えた。


「じゃあ、なんで知らないんだよ!」


「なんでって言われても、知らないからとしか言えないよ」


「知らないって、ダンジョンに入ったことはあるんだよな?」


「入ったことあるってさっきも言っただろっ」


何度も同じことを聞かれ、少しだけイラついた。


「なら、普通必要になるだろ?!」


ヨタは、僕の言っていることが信じられないのか、大声で言ってきた。結も頷いて、ヨタの言葉に同意しているようだった。


「必要になるって、僕は必要じゃなかったし」


実際、ダメージは一切入らないため、何があっても気にならないのだ。


「必要じゃないって、ダンジョンに入ったら、普通取るだろ?!俺も結も攻略できそうになかったから取ったわけだし。ほんと、どうやってダンジョン攻略したんだよ」


「どうって、だから、こう、普通に?」


それから、ヨタはしばらく考え込んで、何か結論が出たようだった。


「はあ、そういうことか」


「ん?」


僕には何がわかったのか、わからなかった。


「つまり、罠なんか関係ないくらい自分は強いから気にするまでもない、とそういうことだろ?」


「え?」


ヨタの解釈は、事実とはだいぶズレていた。


「はあ、そりゃあ、そうか。俺たちとはレベルが倍も違うんだから」


「お、おう、そうだな」


変な解釈をしてくれるのは、事実がバレにくくなるから良いけど、僕もそれに話を合わせるのは大変だった。


「まあ、そういことなら仕方ないけど、俺たちは罠一つでだいぶ消耗させられるから、できるだけ発動させないでくれ」


「善処します」


そう言い僕たちは、また進み始めた。




しかし、そう簡単に上手くいくはずはなく、その後も僕は罠を発動させまくっていた。


「本当、いい加減に、してくれ。どれだけ、発動させれば、気が、済むんだよ」


だいぶ体力を消耗したのか、ヨタは息が上がっていた。結もそれは同じだった。僕は思いのほか疲れはなかった。というか、僕の場合はダメージがないため、躱すなどの行動を取る必要がないから、ほとんど躱さずに体で受けていた。しかし、ヨタたちは躱さないわけにはいかないので、全部躱していた。そりゃあ、疲れる。まあ、全部僕の責任なんだけどね。


「いや、本当ごめん」


僕はさすがに足手まといすぎると、反省していた。しかし、僕も出来るだけ罠を発動させないようにはしているつもりだ。つもりなだけで、気をつける前からあまり発動回数は変わっていない。


「もうさ、零が、俺たちの、前に立って、壁になってくれ」


「え?」


「さすがに、ここまでくると、それの方が、良い気がして、きたからな」


「確かに」


ヨタの言葉に結も同意して、そのまま僕が先導していくことになってしまった。


「で、でも、僕どこに進んだら良いかわからないぞ?!」


「ああ、それなら後ろから指示するから、気にすることはないよ」


と、そういことで、僕に先頭に立って進むことになってしまった。まあ、ダメージなんてないから、別に良いけど。





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