第186話 3人でダンジョン 4

それから、ヨタを先頭にしばらく歩いていると、目的地に着いたのか、ヨタは立ち止まった。


目の前にはダンジョンがあった。僕はこのダンジョンに来たことがなかった。そもそもダンジョン自体ほとんど来たことがなかったので、当たり前のことではある。


ただ数少ない知っているダンジョンなら、気にする必要もなかったが、初めてのダンジョンということで、何も情報がないまま挑戦しなければならない。ゲームを先に始めた身として、このダンジョンについて何も知らないということをできれば知られたくない。


別に知らないことがあるのは当然だから、気にするほどのことでもないのだが、僕はそれを隠したかったのだ。


でも、僕が知っていることを前提にされてしまい、それが原因で攻略できなかったとなるのは嫌なので、知らないことを言わないわけにはいかなかった。


事前に行く場所が知っていれば、調べていたのに。


そう思ってしまう。


「ここが目的の場所か?」


僕は、一応そう聞いた。もしかしたら、ただ近くを通っただけで違うかもしれないからだ。そんなは、ありもしない希望を持った。


「ああ、そうだ」


しかし、僕の希望は簡単に砕かれてしまった。


「そうか……。それなら、僕じゃ力になれないかもしれないな」


「え?このダンジョンって零がクリアできないくらい難しいのか?」


なんか、ヨタが変な誤解をしていた。そういう認識をしてくれれば良いけど、変な誤解をしたを広められても困るので、正直に答えることにした。


「あ、いや、そういうことじゃなくて、僕は一回も来たことがないから、攻略法とか何も知らないんだよ」


「ああ、そういうことか。それなら、ある程度は俺たちだけでなんとかなるし、基本的には補助をしてほしいだけだから、戦闘も参加しなくて良いし。まあ、こんなこと高プレイヤーに頼むことじゃないけど」


「そういうことなら、良いけど。それと、僕にはそこまで遠慮することなんてないぞ。やりたいことも今はないし」


今、やることなんて、店関係のことしかないから、暇ということもあり、こういう誘いはありがたかったりする。まあ、気をつけることも多いから、大変だけど。


「そういことなら、遠慮なくこき使ってやるからな!」


「おい、言い方は気をつけろよ」


「まあ、良いだろ」


僕たちは、そんな冗談混じりの会話をしていた。


その間、結は相変わらず会話に混ざらず、一歩下がったところで僕たちを見ていた。


結が何を考えているのかは、僕は考えないことにした。その方がいろいろと良いだろうし。


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