第177話 手伝い 2
あずさが手伝うことを認めてくれた次の日から、僕はあずさの手伝いをしようとしていた。手伝いって言っても、ポーションを運ぶくらいしか手伝えることはないけど。それでも僕は、自分のできることを精一杯やろうと決め、やることにした。
結たちには、手伝えないことを伝えたので、多分こちらに来ることはないだろう。
そういうことで僕は、ログインをして店の方に来た。そこであずさは忙しそうに準備をしていた。
「あ、零さん、おはようございますっ」
あずさは、忙しいはずなのに、僕に気づいて挨拶をしていた。
「ああ、おはよう」
僕も、あずさにならい挨拶を返した。
ただ、日課のギルドへポーションを売りに行かなければならなかったので、ギルドへ向かった。昨日のこともあり、ギルドに行くのを忘れわけにはいかなかった。
ギルドでは、いつもようにポーションを売った。今日は早くこれたので、クロエさんから小言を言われることもなかった。
そのため、そんなに時間もかかることなく、帰って来ることができた。
帰って来ると、あずさはまだ準備をしていた。
「あ、零さん、おかえりなさい」
「うん、ただいま」
僕は、あずさの準備の邪魔にならない場所に移動した。
「……」
僕は、あずさが何か指示でもしてくれると思い、黙って待っていた。
ただ、あずさは僕に見向きをせず、動いていた。
「あの、あずさ?」
僕は、さすがにこのままじゃダメだと思い、あずさにすることはないか聞くことにした。
「はい、なんですかっ?」
「いやぁ、僕のすることはないかなって」
「うーん、そうですねぇ、今のところ私1人で大丈夫ですので、ないですね」
「ですよねー」
僕は今までのことから、何もすることはないことはなんとなくわかっていた。それにあずさが僕に仕事を任せるとも思えなかった。そのため、当たり前と言えばその通りだった。
ただ、来ているのに何もしないわけにはいかないので、邪魔にならない場所であずさの様子を見ながら、ポーションを複製していた。何かあずさが困るようなことがあれば手伝えると思ったからだ。
しかし、ずっとポーションを複製しながら、あずさの様子を見ていたが、困るようなことはなく、淡々とこなしていた。
結局そのまま僕は、ポーションを複製することしかなく、あずさが準備することは終わってしまった。
店を開けた後も僕は、昨日と同じようにポーションを運ぶことくらいしかでぎず、ただ時間だけが過ぎていった。
その日も昨日同様に特にあずさの手伝いができずに終わった。
そのため、本当に役に立っているのかわからなかったし、むしろ邪魔なんじゃないかと思うくらいだった。
最後くらいは役に立たなければと思い、片付けを手伝おうとしたが、結局何もできずに終わった。
自分から何かできることを探して、やっていかないとダメということをこの時にようやく気付いた。
何も良いところがないまま僕は、落ち込んだ状態でログアウトした。
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