第176話 手伝い
あすかさんはすぐには来れないらしいので、僕はあずさの手伝いをしようと思った。1日、店で働いたが、やはりあずさ1人でやらせるには仕事量が多いと思ったからだ。
本当なら結たちの手伝いをしたかったりするのだが、このゲームに限って言えば最初で大変になることはほとんどない。そのため、結たちには申し訳ないが、僕はあずさと共に店で働こうと思ったわけだ。
まあ、あの2人ならなんとかなるだろ、と勝手にそう思い、あずさを優先したわけだ。それにずっと2人を蔑ろにするわけではないし、大丈夫だろう、と自分に言い聞かせていた。
そんなことを思って手伝おうとしているが、実際にできることなんてポーションを作って運ぶ事くらいしかないんだけどね。僕としてはそこが1番疲れると感じたから、手伝おうと思ったのだ。1日もしてないのに、かなり疲れたからな。
「というわけであずさ。明日からあすかさんが来るまでは手伝うことにしたから、よろしくな」
僕は店に帰り、あずさを見つけるなりそう言った。
「えーと、零さん?何がというわけでなのでしょうか?それと私1人で大丈夫ですよ?零さんは違うことした方が良いと思います」
あずさに間接的に邪魔と言われているような気がしたが、僕は引かずに続けた。
「今日1日、でもないがあずさの手伝いをして、やっぱり1人でやらせるのは大変だと思ったから、あすかさんが来るまでくらいは手伝いたいと思ったんだよ。それに、あずさだって僕が手伝った方が楽だっただろ?」
「いえ、そんなこ——あ、いえ、た、確かに楽になりました!」
ものすごく気を使われた気がした。
「え?僕ってやっぱり邪魔?」
何もできなかったから何となくそのことはわかっていた。でも、直接そう言われるやっぱり悲しくなってしまう。
「そ、そんなことありません!いつもより多く売ることができましたし、零さんがいた方が良かったです!」
やっぱりものすごく気を使われていることがわかった。
「そう?それなら、良かったけど」
気を使われていることがわかったため、あまり喜ぶことができず、声は暗くなってしまっていた。
「そうですよ!零さんがいなければ、大変でしたし、邪魔なんてことはありません!」
「やっぱり大変だったのか」
僕は、あずさの言い訳の中にあった言葉を聞き逃さなかった。普段は言わないであろうことを聞けて良かった。でもやっぱり大変だったのか。そう思うと、もっと早くからあずさ言葉は信じずに手伝うべきだったと後悔した。
「あ、いえ、あの、はい」
言い訳を見つけているようだったが、最後にはそれを認めた。
「別に気を使わなくても良いよ。僕が早く気づくべきことだったけだし、ごめん」
「そんな、零さんが謝ることじゃないです!私は大丈夫ですし、気にしないでください!でも、手伝ってくれるのは嬉しいです!ですが、お母さんが来るまでで大丈夫ですよ!」
「あ、うん、わかった」
僕はあずさにそう言ってもらえて嬉しかった。でも最後の言葉を力強く言われてしまい、それを認めるしかなく、了承してしまった。
やることが決まり、今のところできることもなかったので、僕はログアウトすることにした。
でもあずさはまだやることがあるらしい。僕は、無理をしないように言うことしかできず、申し訳なかった。何かできるようにならないといけないが、一向にできる気配はなかった。それが情けなかった。
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