第173話 増員 14
色々、決まったことで、僕は、気になることがあったので聞いてみることにした。
「あの、あすかさん、一つ聞いても良いですか?」
「はい、何ですか?」
「あすかさんはこの仕事で良かったのですか?なんか、急だったみたいですし」
話を聞いている限り、今日初めてあずさから聞かされたみたいだったから、今までやっていた仕事のこととか、大丈夫なのかと思ったのだ。
「ええ、急でしたけど、私としては賃金が多い方が良いですから。それに、やっぱりあずさのことも心配でしたので、目の届くところで働けるのは、安心ですから」
「そうですか。それなら、良かったです」
そう言ってもらえて僕は、ありがたかった。無理やりになってしまうと、申し訳ないからだ。
「あ、ですが、いきなり明日からはできないと思います」
「急でしたし、それは仕方ないですよ。気にしないでください」
「できるだけ、早くに来れるようにしますね」
「はい、わかりました。ですが、無理だけはしないでください」
あずさに無理をさせてるやつが何を言っているんだって話だけど。
「はい、ありがとうございます。気をつけますね」
それと、僕はもう一つ聞いてみたいことがあった。
「あの、それとまだ聞きたいことがあるのですが、良いですか?」
「はい、大丈夫ですよ」
「では、あの、夜、仕事をしているみたいですけど、なんで夜なんですか?」
「それは、やはり報酬が良いからですね」
「そうなんですか。ちなみに、どれくらい稼いでいましたか?」
僕は、どれくらい稼いでいるのか気になっていた。もし、ここより多ければ、上げたりした方が良いのかな?と思っているからだ。
「日によって違いますが、10〜100ゴールドくらいですね」
「え?少なくないですか?」
聞いてみたら、思っていたよりも少なかったから、つい失礼なことを言ってしまった。もう少し、1000ゴールド近くは稼いでいると思っていたからだ。
「いえ、私たちスラムの人では多い方なんですよ。普通なら、10ゴールドも稼げませんから」
「え?そうなんですか?」
「ええ、私たちまで仕事が回ってきませんから、残ったのは賃金の安くて大変な仕事ばかりですからね。まあ、私たちスラムの人と働きたくないって人が多いからなんですけど。むしろ、零さんは私たちスラムの人と働きたくないって思わないんですか?」
僕は、あずさから聞いていた、スラムの人の現状からすれば、そうなってしまうのもわかる気がした。
「僕は、そんなスラムってだけでは判断しません。スラムとか関係なく、僕が不利益になるようなことをするような人は雇いたくないとは思いますけど」
口ではそう言ったが、人を雇うことに関してはあまり気にしていなかった。現状、お金には困ってないし、売れなくなっても困ることはないと思っているからだ。不利益を被っても僕が破産することはまずないからだ。
「そう、ですか。珍しいですね。でも、私たちがスラムの人だと分かると人が減ってしまうかもしれませんよ?」
「まあ、そうなった時はそうなった時です。今考えることじゃないと思うので、そうなった時に考えます」
「ほんと、珍しいですね。私はやることがまだあるのでそろそろ帰ります」
「わかりました」
そうして、あすかさんは帰っていった。
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