第164話 増員 5

僕は、夜になる前にログインし、すぐにあずさの監視を始めた。


あずさは、言葉では夜に行かないと言ってるが、実際行かないかと聞かれると断言できないからだ。そのため、僕はあずさを監視することにした。


僕が店に行った時、あずさは掃除などの片付けをしていた。あずさは、僕が来たことにいち早く気づき挨拶をしてくれた。


「零さん、お疲れ様です。こんな時間に珍しいですね。何かすることでもあるんですか?」


あずさの言う通り僕は主に朝の時間帯にしか店の方に顔を出すことはない。まあ、帰って来たりはする。でも、その後はほとんど店の方には顔を出さない。だから、珍しいと言われるのはしょうがないことだ。


「それほど大したことじゃないけど、念のためにしておきたいことがあるんだよ」


「そうなんですか。何をするかとか、教えてくれますか?」


僕は、別にバレるから構わないと思い、言うことにした。


「ああ、ちょっとあずさを監視しておきたいんだよ」


「わ、私をですか?」


「ああ、そうだ」


「なんで零さんがそんなことをするんですか?私は何もしませんよ?」


「ああ、僕もそう思ってるんだけど、朝のことを考えるとあずさが勝手に行きそうな気がしたからな。念のため見張っておこうかなって思ったんだよ」


僕がそんなことを言うとあずさはどこか、後ろめたいことでもあるのか、視線を泳がせていた。


「そ、そんな零さん、悪いですよ。私を監視なんてしてないで、寝てください。私は勝手に行ったりしませんから」


「なんか、すごく怪しいんだけど?もしかして、行こうとしてたりなんてしてないよな?」


「も、もちろん!してませんよ!」


「そうか、それなら、安心だな」


「そうですよ。だから今日はゆっくり休んでください」


「わかったよ。ただし、もし行くようなことがあれば……」


「あれば、何ですか?」


「それは、そうなった時にでも話すよ」


僕は、ペナルティーを考えてなかった。と言うか、どんなことがペナルティーになるんだ?正直、辞めさせるのはむしろ僕が大変になるから、嫌だ。かと言って他だと何も思いつかない。一時的に休みにさせるのも良いかもしれないが、結局僕が大変になる。まあ、それくらいは仕方ないと割り切ることにした。まあ、むしろ無くても良いだろうけど。


「わ、わかりました」


「あ、それと僕はあずさのこと、信用してるからね」


「は、はい」


それから僕は暇だったので、あずさを手伝いながら、監視も同時に行っていた。それも無くなってしまうと僕はポーションを作り、時間を潰していた。


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