第136話 雇用 3
ログアウトした後は、リアルで課題や食事などを済ませ、午後10時に再びログインをした。ゲーム内では、朝の6時頃だ。
ログインした後は、クロエさんが来るまでの間、地下にいるヒールストーンスライムを何とかしようと考えていた。何とかといっても、人を襲わないようにするだけだ。今はまだ人を襲ったことはないが、それは人に会わせていないということもある。
だから、人を雇う前に人を襲わないように躾ておいた方が良いと思ったわけだ。
僕は、とりあえず地下に向かった。まあ、度々地下には来ているから、躊躇いなく地下室に入って行った。地下室は、相変わらずというか、きたなくなっていた。来る度に少しは綺麗にしているのだが、今回はしばらくの間来ていなかったので、その汚れもひどい。
僕が地下室に入ると、ヒールストーンスライムは、すぐ近寄ってきた。毎回近寄って来るからもう慣れたから、驚いたり、警戒したりはしない。特に何かをするわけでもなく、ただ近寄って来るだけだからな。
僕は、まず地下室を掃除し始めた。その掃除をしている間、ヒールストーンスライムは僕の後をついて来る。
僕はどう躾けるのが良いか考えながら掃除をしていた。気づいた時には地下室がだいぶ綺麗になった。だいぶ綺麗になったのを確認した僕は、ついて来るヒールストーンスライムの方を向き、身を屈めた。この時、初めてヒールストーンスライムをしっかり見た気がした。
まずは、ヒールストーンスライムが話がわかるのか確認してみることにした。というか、話がわからなければ、躾なんてできないけど。
「スライムよ、これから僕以外の人がこの家に住むことになるが、襲うなよ?」
そう言うと、ヒールストーンスライムは、体を振動させ、僕の言葉に反応しているように感じた。
言葉がわかっているかはわからなかったが、僕は違うことも言った。
「それからむやみに人を襲わない、わかった?」
僕がそう言うと、ヒールストーンスライムはまた体を振動させた。明らかに僕に言葉に反応しているのがわかった。
僕は、そのことが嬉しくなり、いろいろと言っていった。例えば「スライムを撒き散らさない」とか「悪人は襲って良い」とか「水に浸かる時は、その水をスライム水にしない」だとかだ。
そうやって言っていたが、ふと我に返り店の方にいないといけないことを思い出し、僕は慌てて店の方に戻った。その時、地下室のドアはしっかりと締めておいた。
店の方に来るとまず外を確認してみた。まだクロエさんは来てないみたいだったので、良かった。僕は、それからクロエさんが来るまで店の方でポーションを作りながら待っていた。
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