第128話 特訓 6

翌日、昨日ギルドに行ってないことを思い出した僕は慌ててギルドに行った。


ギルドに行くとクロエさんが待っていた。でも怒っているようではなかったので、少し安心した。それでも、僕は悪いことをしたという気持ちがあったため、謝ることにした。


「昨日は来れなくて、すいません!」


僕は腰を90度に曲げ、頭を下げた。僕は精一杯の謝罪の気持ちを込めて謝った。


「零さん、別に怒ってませんから、顔を上げてください」


「クロエさん……」


僕は、クロエさんの懐の深さを実感していた。今までなら、絶対に怒られていたのに。


「もう、零さんが来れないのはわかっていますから。零さんはそういう人ですからね」


と、思っていたら、諦められていた?!


さっきまでの感動を返して欲しい。ついにクロエさんにもデレ期的な何かが来たと思ったのに。


「それじゃあ、零さんが来てくれたので、とりあえずいつものモノをお願いしますね」


クロエさんは、すぐに切り替えていた。僕も気持ちを切り替え、ポーションを売った。


「そう言えば、零さん」


「はい?何ですか?」


「昨日もお店は開いていなかったですし、最近お店にいないみたいですけど、今度は何をしてるんですか?」


「えーっと……」


僕はなんて答えていいかわからなかった。素直に、テレポートを使った攻撃方法を開発してる、とは言えないからだ。


「何か言えないようなことでもしているんですか?」


何故か、クロエさんの言葉が刺々しく感じた。


「いえ、言えないということはないんですけど」


「なら、言えますよね?」


「えーっと、何と言いますか。説明し辛いと言いますか」


「説明し辛い、ですか?」


なんか、クロエさんがすごく怪しんでいる。まあ、信用されるようなことは今までして来てませんからね。どちらかというと、信用されなくて当たり前だと思う。


「うーん、言い辛いですが、あえて言うなら、強くなるための特訓をしてます」


「そうなんですね」


この後、特に引き止められたりすることなく、すんなりと帰ることができた。




ギルドを後にした僕は、前日から行っている森へとやって来ていた。


目的地に着いた僕は、まず、昨日までやってきていたことを忘れないうちにおさらいしておこうと思い、とりあえず木を1本切ってみた。


相変わらず、仕事量は多くてたいへんだ。しかし、昨日よりはうまくできた気がする。


そのことに気を良くした僕は、時間忘れて日が暮れてくるまで続けた。そこまで続けた結果、何とか形にすることはできた。でも、まだ周りから見ると不自然な感じがするような完成度だ。


それに、気づいたことがある。それだけでもいい、収穫だ。


その気づいたことというのが、高速処理のスキルが役に立つということだ。というか、高速処理のスキルを使わなければ、いけない。


その理由は簡単で、振り抜く間にテレポートを数十回程度では不自然に感じてしまうのだ。そこで、高速処理のスキルを使い、振り抜く間に数百回のテレポートをしなければならないということに気づいたのだ。


ここまでやれば、不自然に見えることはないはずだ。


でも、そのことに気づいたときには、すでに日が暮れ始めていた。そのことに気づき、僕は慌てて辺りを片付け、店にテレポートを使い帰った。


僕はそのままログアウトした。





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