第122話 特訓 2

あれから1週間が過ぎた。


しかし、まだまともに切れたものはない。


それに木を切り倒している最中、ある大事なことに気づいてしまった。


それは、1箇所だけで木を切り倒しているとそこだけハゲてしまうということだ。だから、1日ごとに場所を変えて特訓をやろうと考えている。


それでも少しずつうまくなってきてはいる。


結と誠がやり始めるまで、時間もなくなってきたので、次の段階に移らなければ間に合わないため、やることを変えることにした。


次にやることはロングソードを振りながら、テレポートを使い、木を切るということだ。


今までは振りかぶったりせず、テレポートだけ切断を行ってきた。そのため、難易度が格段に上がる。しかし、時間がないためやるしかないのだ。


ということで、振りかぶりロングソードを木に叩きつけた。まずは、テレポートなしでどれだけ木に食い込むのか知っておきたかったから、テレポートを使わなかった。


しかし、木にぶつかると、木は傷つくことなく、弾き返されてしまった。


ある程度予想はしていたが、その通りになると、自分の非力さを思い知らされて、落ち込んでしまう。


その程度で落ち込んでいたら、特訓が進まないため、気持ちを切り替え、テレポートを使いながら再開した。


最初は振りながらなんてできないため、木に触れた状態から始めた。木に触れた後、ロングソードが木に食い込むようにテレポートさせた。


テレポートさせた後、手に違和感を感じ、手を見た瞬間、僕は悲鳴を上げていた。


「ぎゃあぁぁぁ!?!?」


この時、僕は自分の手の位置まで考えていなかった。そのため、ロングソードは僕の手を貫通した状態になってしまった。痛覚はないが、その光景に耐えられなかったため、すぐにロングソードを近くにテレポートさせ、手から抜いた。


幸い手に空いた穴は小さいため、不死のスキルですぐに穴は塞がり、元に戻った。


しばらく何も考えられなかった。


気持ちも落ち着いてきた頃、僕はどうしようかと悩んでいた。テレポートさせるのはいいのだが、これじゃあ、毎回僕の手が穴だらけになってしまう。それは、精神上よろしくないので、どうやったら、手に穴が空かずに済むのかを考えた。


立っていると疲れるため、座ることにした。


最初に思いついたのは、振りながらやるようになれば、貫通しなくなるのではないか、という単純なものだった。しかし、現状振りながらは出来ないため、どうなるかわからない。もしかしたら、思っていた通りになるかもしれないし、まったく思っていたこととは別のようになるかもしれない。


そのため、別の今できる方法を考えた。


次に考えたのが、別の場所にテレポートさせた後、自分の手の位置を調整し、調整した場所に戻すという方法だ。


これなら手に穴が空くことなく、できると思った。


立ち上がり、さっきと同じように木にロングソードを触れさせた。そこから、ロングソードを別の場所にテレポートさせ、手の位置を調整した。


そして、別の場所にテレポートさせておいたロングソードをテレポート……できないことに気づいた。触れている物体しか、テレポートできないことを今、思い出した。


この方法をやるには、僕が触れてないといけない、つまり、僕の体の一部は確実に穴が空くということだ。


そのことに気づいた僕は、この日これ以上特訓をせずに帰宅し、ログアウトした。






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