第107話 準備 7

翌日、ログインすると、毎度お馴染みの白い空間に出た。


「やあ、プレイヤー諸君」


いつもの挨拶から始まった。


「今回の魔王討伐にイベントについての報告からしていこうと思う」


そうなのだ、ここが重要なのだ。僕は討伐に失敗しても関係はないけど、他のプレイヤーはそうではない。これで討伐できていなかったら、もしかしたら、僕への勧誘も減るかもしれないのだ。


「今回のイベントは失敗に終わった」


ほっ、良かった。これで勧誘は減るかな?


「こちらとしても、この結果は喜ばしいことだ。今回は前回とよりもかなり強く設定いたからな。今回も倒されたら、どうしようかと思ったよ」


へ?なんだよ、それ。強くしたって、それじゃあ勧誘がまだ続くかもしれないじゃんか。はあ、余計なことはしなくていいのに。


「そして、今回討伐に失敗したため、既存のデータにログインできなくなったプレイヤーも少なくない」


ざまあみろ!人の勧誘なんかしてるから、そんなことになるんだよ!


まあ、僕が今回魔王を倒せたどうかはわからないんだけどね。


「そのことは、最悪の場合を想定してなかったプレイヤーの責任だから、今回は前みたいに、することはない。我々運営は、最初に忠告はした。そのため、データ復旧に関する問い合わせは一切受け付けない」


うわぁ、運営結構鬼畜だな。まあ、確かに忠告はしてたしな。それを守らなかったプレイヤーが悪いんだし。それに復活の玉もあるくらいだし。これくらい普通と言えば、普通だな。


それに、自分の実力に見合ったクエストをやっていれば、死ぬこともないんだし。


まあ、PKはどうすることもできないけど。


「次の魔王討伐では、討伐できるように頑張ってくれたまえ」


そう締めくくり、運営からの報告終わった。


それから、ようやくログインすることができるようになった。



ログインをして、ギルドに向かうと、今まで以上に勧誘が激しくなっていた。


もう見境いなく、声をかけまくっている人もいる。中にはしつこく、勧誘されている人もいる。


その内の1人は僕なんだけどね。ほんと安易にギルドに来るべきじゃなかったと思った。


原因はどう考えても、多くのプレイヤーがデータを失ったことだろう。それで、グループ人数が減ったことが原因だと思う。


僕はなんとか勧誘してくる人たちから逃げることができた。


この日はもう嫌になり、宿に戻った。


それから、何かをやる気にもなれず、ログアウトをした。それに、学校にも行かなければならないから、長居はできなかった。



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