第100話 その後
それから、土曜、日曜は全て騒動を抑えるためにクロエさんの近くで劣化ポーションを複製し続けていた。
その甲斐もあってか日曜には、騒動を起こしている人はかなり減った。やはり、便乗していた人が多かったのが、理由だろうと思う。
それにタダでポーションを配っているんだから、便乗して貰おうとする人はいたと思うし。そのせいかもしれないが、土曜は少し人が多いように感じた。
もしかしたら、タダで配ることも騒動の原因になっていたかもしれない。まあ、今は前に比べたら、騒動に参加する人も減ったからいいけど。
それでも日曜の夜になっても騒動はまだ続いているわけですけど。少しだけ、方法を間違えたかもしれない。
騒動というのも「ポーションをよこせ!」だったりなので、ポーションを配るということで少し落ち着いているのだけど。
それ以上に「ギルドを潰せ!」って声もあるから大変なのだ。そういう人たちは冒険者に殺された人の知り合いだったりするからだ。まあ、自分たちが襲っているから、しょうがないとも思うんだけど、やっぱり感情論に正論は通じないからな。どんなに正論を言っても意味がないのだ。
そんなこともあって僕は人の前に立てないでいる。クロエさんたちが無事なのは、単純にポーションを配っているからだ。善意で配っているのに襲いでもいたら、もらえなくなるってわかっているんだと思う。だから、何人か襲おうとしていた人がいたけど、すぐにNPCの住人に拘束されていた。
僕が前に出たらこうもいかない。どんなに製作者ってことを主張したところで聴く人なんていないだろうから。人とはそういうものだ。
無事にポーションを配ったおかげで徐々に冒険者も戻りつつある。それにクエストも少しずつ前の状態に戻ってきている。
そのため、僕がこうやってクロエさんの近くでポーションを複製するのも今日で最終日だったりする。ポーションに関してはかなり改善されたから、後はクロエさんたちがなんとか説得をするらしい。
クロエさんも「後は私たちに任せてほしい」と言っていたので、大丈夫だと思う。これでしばらくは自由に行動できるな、と思った。
そして、僕も解放され、帰ろうとした時、クロエさんが僕に話しかけてきた。
「零さん」
「はい?なんですか?」
「それじゃあ明日もお願いしますね」
「ん?何をですか?」
主語を言ってもらわないとさすがにわからない。
「何って、また明日からポーションを売ってくださいってことです」
「ああ、はい。わかりました」
結局、僕はポーションを作り続けないといけないらしいですね。まあ、他にやることもないですからいいですけど。
そして、今度こそ、僕は解放された。
この日は一応、念のため独房に泊まることにした。だんだん騒動が少なくなったとはいえ、まだ襲われるかもしれないからな。
僕は、高級宿が恋しく思いながらも安全を取り、独房でログアウトをした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます