第99話 異常事態 11
その日、帰ってきてから一度ログインをし、残っていた劣化ポーションを朝と同じように、クロエさんに押し付けてログアウトした。
そのとき、クロエさんは驚いていた。やはりのかなりの数用意していたからだろうな。
外は、昨日に比べると減っていたと思う。
というのも、目測でしか測れないからだ。見た感じは減っていたと思う、というか思いたい。そうじゃないとこんなことしている意味がなくなるからな。
減っていることを願うばかりだ。
ログアウトした後も、そのことで頭がいっぱいだった。そのため、食事中や入浴中は早くログインしたいと思っていた。
しかし、やることが思いつかず、22時まで待つしかなかった。
22時にならないと、ゲーム内で朝にならないからな。だから、すぐにはログインができないのだ。
だから現実で、どんなことをすればいいのかを考えていた。
考えていると、ふと思ったことがある。
それは、明日も同じように劣化ポーションが必要になるのなら、作っておいた方が良いのでは?ということだ。
帰ってきてすぐのログインで劣化ポーションの在庫はほとんどなくなってしまっている。だから、増やすことを考えなければならなかったのだ。
そのことを思い出し、すぐにログインをした。
ログインしたとき、20時過ぎだったので、日付が変わったところだった。独房の中は暗かった。前も暗いときにログインしたことはあるので、驚いたりはしなかった。でも最初、暗いときにログインしたときは驚いたことを覚えている。そのときを思い出すと少し懐かしい気がする。
そんなことを懐かしく思っているヒマはなく、僕はすぐに劣化ポーションを複製していった。時間は約6時間あるから、明日の分を作ることはできると思う。
それに明日は金曜だから、明日さえなんとかしてしまえば、なんとか乗り越えることができるのだ。
そう思い、僕は機械的な早さでポーションを複製していった。
その後、6時間はあっという間に過ぎ、朝を迎えた。劣化ポーションは、約20万本作ることができた。最近になって複数を同時に複製する方法が見つかったので、前に比べるとMPの消費も複製数も格段に増えた。
劣化ポーションを複製し終わった僕はクロエさんに会うため、受け付けを向かった。
受け付けでは、というより、今ではギルド全体が淋しくなっている。それは人が全然集まらないからだ。今も受け付けの周辺には数人しか見当たらなかった。
そのため、すぐにクロエさんと話ができたのはよかった。すぐにいつもの場所に行き、僕はポーションの準備を始めた。
僕は、あることに気づいた。
そとから聞こえる怒号の類が減っているのだ。なにか、声の勢いが弱まっているように感じられた。
それは単純に朝だからなのか、それとも本当に減っているのか。それはまだわからなかったが、少しだけモチベーションが上がった。
しかし、時間が経つにつれて、声を大きくなっていき、朝だから少なかったのかと、へこんだ。
その日も約10万本を配り終え、僕のやることは終わり、ログアウトをした。
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