第98話 異常事態 10
ポーションを無料で配ったあとから、僕はずっと劣化ポーションを複製し続けている。
明日もよろしくと言われたが、明日はまだ金曜で平日である。そのため、行くことは無理だ。まあ、学校を休めばいいんだろうが、ゲームをするためにわざわざ休むのもどうかと思う。
え?前は休むつもりだったろって?
そんなこともう忘れたわ!
それに前は、休む期間を長くするのであって、今回とは違うのだ。どう違うのかと言われれば、連続かそうでないかの違いだ。
ほら、よく休み明けで、学校がないと思って休むやつとかいるじゃん?それと同じで、1週間、間違えたってことにすればよかったけど、今回はそうもいかないでしょ。
ということで、明日は行けるが長時間、拘束されるのはまずいから、今のうちに大量に作っておいて、明日になったら、ギルドにおいて来ようと思っているのだ。
まあ、クロエさんにまた何か言われそうだけど、そんなことは関係ない。それよりも、学校に行くことが大事だ。
そういうことで、僕は大量に劣化ポーションを複製しているというわけだ。
それから、飽きるまで劣化ポーションを作り、ログアウトした。
ログアウトするともう、深夜の0時を過ぎていた。いつものことだけど、明日の朝またログインをして、劣化ポーションをギルドに置いて来なければならない。それに、後々のことを考えて、クロエさんの見ている前で置いてきた方が良いと思う。
だから、朝は少し余裕を持って行動したいのだ。そのため、この後すぐ僕は眠りについた。
翌朝、朝食をすませ、仕度をある程度終わらせた6時半に再びゲームにログインいた。
ログインした僕はすぐに独房からでて、受け付けのクロエさんのところに向かった。
僕が受け付けでクロエさんを見つけると、クロエさんも僕のことに気づいた。
「あ、零さん。今日は早いですね。これはいいこと——」
「さあ、行きますよ!」
僕はクロエさんの言葉を遮り、クロエさんの手を掴み、昨日いたところを目指して引っ張って行った。
「え?零さん、どうかしましたか?」
クロエさんがこちらを不思議そうに見ているが、詳しくは答えられないため、言葉を選びながら答えた。
「今日は、ちょっと予定があるため、ずっといられないんですよ」
僕がそういうと、射抜くような視線を後ろから感じた。
「つまり、また私たちは大変な目をあわないといけないんですね?」
僕を責めるような言葉だったが、こんなことでは怯みはしない。
「いえ、そうしないためにかなりの量を作ってきました。ですが、量が多いため昨日の場所の方がいいかなと思いまして」
そのことで納得したのか、それ以降は何か質問をしてくることはなかった。しかし、まだ疑われているようで射抜くような視線を感じなくなることはなかった。
気のいたところに到着すると、僕はすぐに昨日作った劣化ポーションを出していった。
最初はクロエさんはどこか不機嫌そうだったけど、増えてくる劣化ポーションを見て、だんだんと焦ってきたのがわかった。
「ちょっ、零さん!ストップ、ストップ!」
ついにクロエさんの方が折れた。
「それ以上出されたらこちらでも捌ききれないのでやめてください」
僕はその言葉に満足し、出すのをやめた。これでも昨日作った半分程度なのに、残念だ。そう思ったが、クロエさんの言う通り、出すのをやめた。
これだけの量があれば、大丈夫ということで、帰っても何もいわれることはなかった。
これで僕は心置き無く、学校に行けるというものだ。
そして、僕は独房に戻り、ログアウトした。
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