第96話 異常事態 8
夏休み、誠と結に教えることが決まった日の夜、僕は万全の体制でゲームを始めようとしていた。昼間十分寝れたおかげだ。でもそのせいで自分の評定を下げたのは否めないけど。
まあ、今はそんなことを気にしている場合でもない。それにたかが一回くらいでそんなに下げることないだろう。それに普段まじめに受けているわけですし、温情はあるでしょうと、前向きに考えていた。
そんなことを考えていたが、とりあえずログインをした。昨日はあんなことになったてから、今日は大丈夫か少し不安ではある。
それに、慌ただしくしてたため、ゲーム内では3日過ぎているのだ。その間クロエさんには会えていない。すぐできるとか、言っておいて3日も放置していたから、なんて言われるか考えただけでも恐ろしい。
朝は寝坊してしまい、帰ってきてからはそんなに長くはできなかったからだ。
まあ、3日程度でそんなに大きく変わることもないだろうと思っていた。
ログインしてみると、独房は、特に変わっているところはなかった。なので大変なことになってないと思い、扉を開けようとしたが、開かなかった。
無理やり開けようと力を入れるが、攻撃ステータスが0のため、ビクともしなかった。
それから、数十分押し続けたところ、少しだけ開いたので、何があるか扉の隙間からみたら、人が扉にもたれかかっていた。
人がもたれかかっているだけで、僕の力じゃ開かなくなると思うと悲しくなってきた。
そんなことで悲しくなっている暇はないので、なんとか、退いてもらおうと、肩を叩いたりした。その人は、寝ているようだったので起きてもらった。
「ん?」
その人はまだ寝ぼけているのか、現状を理解していなかった。
「あの、出られないんで退いてもらっていいですか?」
「?……あ!すいません!」
ようやく気づいてもらえ、退いてくれたので、外に出ることができた。
「ああ、ようやく出られた」
「本当に申し訳ありませんでした」
そう言ってきたので、僕は丁寧に答えた。
「いえ、気にしないで——あ」
「どうかしましたか……?」
その人はクロエさんだった。でもクロエさんはまだ寝ぼけているみたいで、僕だという事を認識しているかどうかも怪しい。
けど、僕はそれ以上に危機を感じていた。クロエさんが僕の部屋、もとい独房の前で待機していたところを見るとかなり現状がやばいということだ。
それからクロエさんもだんだんと頭がはっきりしてきたのか、僕のことを認識したみたいだった。
「零さん?」
凄みのある声で呼ばれたので、答えないなんてことはできない。
「はい」
僕はこの時覚悟を決めた。何をされても文句は言えないからな。
僕は、死刑を待つ人の気持ちがわかったような気がした。
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