第95話 学校にて 5

ログアウトすると、すでに深夜の2時を回っていた。


ということは、ゲーム内に6時間もいたことになる。何時間、僕は気を失っていたんだよ。


そんなことに、とやかく言っても仕方ないし、今は、寝ることが優先だ。明日はまだ学校がありますし、寝ておかないといけないからな。



翌日、僕はできるだけすぐ寝たのに、授業中寝てしまった。それでまた、結や誠にいじられていた。普段は、こんなことにならないように努力しているから、寝ないから、逆にそれが仇となってしまったのだ。


まあ、いじられたところでどうということはない。


そんなことで、僕は昼休みの間もいじられていたのだが。


「そう言えば、俺、俊に大事な話があるんだけど」


「なんだよ。ここまでいじっておいて」


「今、思い出したんだよ」


「それで、大事な話ってなにさ?」


いろいろ言っても面倒なことになるだけだから、素直に聞いておく。


「俺、ようやくVRが買う目処が立ったんだよ!」


「あ、私も買えそうだよ!」


と結も話に交じってきた。


「おお、それは良かったな」


「おい、なんか反応が薄くないか?」


「だって、こうなることはなんとなくわかってたし。それよりも、話ってそれだけなのか?それなら、少しでも寝たいから寝かせてくれ」


眠いし、いじられたせいで語調が強くなってしまっている。


「いや、これからが本題だ」


「本題?買うこと以上に重要なことなのか?」


「ああ、そうだ。重要だ」


「それで、重要なことってなんだよ?」


「俺に、いろいろ教えてくれ!特にステ振りについて!」


「あ、それ、私も教えて欲しい」


と結も便乗してきた。誠に比べて結の方は、必死感があまり感じられなかった。というか、誠が必死すぎるだけか。


「それくらいなら、問題ないし、教えてもいいけど。それなら、攻略サイトとか見ればいいだろ?そっちの方が詳しく載ってるだろうし」


僕は当たり前のことを言った。別に教えるのはいいけど、あまり僕のステ振りは知られたくないし、それに今はゲームのことを考えないといけないから、違うことを考えたくない。


「それは、そうなんだけど、やったことのないやつが見てもわからないこともあるだろ?」


「まあ、確かにな」


「だから、教えて欲しいんだよ」


「はあ、わかったよ。それじゃあ、買った後でいいのか?」


「ああ、それでいいよ」


「そう言えば、いつ買うんだ?」


「夏休みに買う予定だよ」


こうして、僕は夏休みに誠と結に教えることになった。しかし、あのステ振りで教えることなんてあるのだろうか?


僕はそんな疑問を持っていた。


この日はこの後も眠くて、まともに授業を受けられなかった。




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