第91話 異常事態 4
あっさりと入れたので、そのままギルドに向かった。行く道も堂々としていたためか、声をかけられることもなく、ギルドまで着くことができた。
ギルドに着けたのはいいのだが、ギルドの前には、すごい人だかりができていた。
さすがにこの集団に突っ込むのは厳しいと思う。でも、ここからじゃないと中には入れないし、どうしたものか。
そんなふうに考えていたが、いっこうに良いアイデアが出ないから、今日のところは諦めて、どこかの宿に泊まってまた明日出直そうと思った。それに1日経てば少しは収まるだろうし。
そう思い、その日は宿を取りログアウトした。
翌日、リアルでは約11時間後、僕は再びログインをしたが、騒ぎは収まるどころか、さらに規模を増していた。幸いなことに僕の方は冒険者ってことを隠して宿を取ったため、襲われることはなかった。
これ以上、規模が拡大するのはまずいと思い、堂々の人だかり向か——おうとしたが、これから風呂に入ったり、夕食を食べたりしないといけないから、時間のかかることはできないのだ。だから突っ込むのはやめて、僕はすぐにログアウトした。
それから、5時間後、ゲーム内では騒動が起きてから3日目を向かえていた。それにこれからは寝るだけだから、後のことを気にすることなく、ゲームに集中することができる。
そう思い、ログインしたのだが、ギルドについてみると拍子抜けするくらい人がいなかった。というか、人自体いなかった。確かに朝早い時間だし、3日目だから騒動を起こさなくなったのか?
とにかく、人がいないのなら、今のうちにギルド内に入っておこうと思い、入っていった。
ギルド内は、人は受け付け嬢くらいしかいなかった。冒険者はあたりには見当たらなかった。その受け付け嬢の中にクロエさんがいた。
クロエさんに気付いた僕はフードを被ったまま、声をかけた。
「クロエさん」
「はい?ああ、何か依頼でもあるのですか?すみませんが、今日からしばらくギルドは休みになりますのでそういったことはできません」
なんですとー!そんなこと初耳なんだけど。
「えーと、じゃあ、ポーションを売ったり——」
僕のが言い終わる前になぜか息苦しさでしゃべれなくなった。自分の状況を確認するしてみると、クロエさんが僕の服の襟を掴んで締め上げていた。
「ポーション売ってくれるんですか?」
「————」
僕はそれに答えようとしたが、首が締まっているため、声が出せなかった。なんとか伝えようと、腕を叩いたりしてるが気づく様子はなかった。
「なんで、なんで答えてくれないんですか!さっきは売るって言ってくれたじゃないですか!」
そう言いながら今度は襟を掴んだまま、頭が振られ始めた。やばい、意識が飛びそう。
それからだんだんと意識が薄れていき、ついに僕は気を失ってしまった。
僕って、酸欠には弱いんだね。と、不死にも弱点があることを知れて良かった。そんなのんきに考えているのは、意識を刈り取られたってことを自覚してなかったからだ。
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