第90話 異常事態 3
ファスム近くにテレポートしてきたが、ファスムの街からもそれなりに人が逃げてきている。
この光景を見て改めて思ったが、NPCから逃げるプレイヤーって何かおかしいよな。まあ、指名手配とかされなくないプレイヤーにとっては当たり前だと思うけど。それにNPCを殺してるやつもいるらしいし。
それよりも、どうやって街の中まで入るかだ。
早めに行っておいた方が後々良いと思うし、何よりも、クロエさんが怖い。すでにかなり怒ってそうだし。でも、縛らないとは言っていたから大丈夫だと思いたい。
でも今は、そのことは後回しだ。それに、今更どうすることもできない。
で、考えた作戦だが、堂々と行くというものだ。さすがにこんな状況で街に入る冒険者はいないと向こうも思っているはずだ。そこにこそ穴があるというものだ。
でも一応、ローブは被って行く。さすがに素顔で行くほど僕もバカじゃない。それに、最終手段として、テレポートしてギルドまで行くということもできる。でもこれはあまりしたくない。
ちょっと前のことになるんだが、テレポートした先にモンスターがいたらしく、そのモンスターを殺してしまったことがあるのだ。つまり、もしかしたら、ギルドにテレポートしたその場所人がいた場合、僕が指名手配されかねないからだ。できるだけこういうことはしたくない。だからこそ、最終手段なのだ。
いつまで考えていても仕方ないので、どうなるか行ってみることにした。
ローブは、逃げてる時に遭った、ポーションに詳しかった老人からもらったものだ。
街に行くまでの道では、街から逃げてくる人をかなりみた。みんな必死のようで、中には服を着てないものもいた。でも、男の裸に何の得もない。
街の門の前まで、何とか辿り着くことができた僕は中に入るために堂々と人の列に並んでいた。
「次の方どうぞ」
そんな言葉で、ようやく僕の番までまわってきた。
「今日はどういった目的で来ましたか?」
「今日は、ギルドに売りたいものがありまして」
「そうですか。では、何か自分のことを証明できるものはありますか?」
そういったものはギルド所属のカード以外、持っていなかった。でも持ってると言ってもバレるだけだから、持ってないと言おうと思った。さすがに、ギルド所属を証明するものはまずいから。
「いえ、そういったものはないんですが……」
「わかりました。では、大金貨1枚いただきます」
「はい、わかりました」
お金を要求されるとは思ってなかった。でも10万ゴールドくらいは何の問題もなかったから、気にせずに渡したら、すごく驚かれた。
「よく、それほど持ってますね。でも、問題は起こさないでくださいね」
「わかりました」
そして、僕は街の中に入ることができた。
目論見通り街に入れたことに驚きつつも、僕はギルドに向かった。
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