第83話 魔王討伐 6
街を出てから少し迷ったが、なんとか見つけることができた。まあ、草原に不釣り合いな建物があれば、わかるよな。
建物の中に入るとまだ前に戦っていた人が少し残っていた。
残っている人が完全にいなくなったことを確認してから、僕は魔王の前に出た。
「む?また人間か?いいかげん勝てないことを理解した方がいいぞ?」
「そんなことはないぞ?今回こそは勝ってやるからな!」
「はぁ、まったくその自信はどこから出てくるのか」
「そうだ、そうやって油断してればいいんだ」
そう言って僕は魔王の首に向かって鉄板をテレポートさせた。これで死なないことはわかっているので、瞬歩で近づいて鉄板を回収し、また瞬歩でもとの位置に戻ってきた。
しばらく観察していると、落ちていたはずの魔王の首が、元の場所に帰っていた。
「なるほど、それは前回俺を殺したものか。だからそんなに自信があったのか。まあ、俺には効かない——」
セリフは途中だったが、僕は躊躇いなく、次のテレポートをさせた。そして、テレポートさせた鉄板は回収しておく。
「って、最後まで——」
魔王のセリフは聞かずにどんどんテレポートさせたいく。どうせ、勝てないから諦めろみたいことしか言わないだろうし。それなら、聞かなくてもいいかなと。
「おい!人げ——ん!俺の——話を聞——け!」
なんともうるさい魔王だ。そんなことを聞いてる暇はないんだよ。しかし、何度もやっているが、全然倒れる気配がない。そのことに僕は焦り始めた。
そのことに魔王も気付いて、気をよくしたのか、殺されることに慣れてきていた。
「ふふん!何——度やって——も無駄——だよ?」
なんか、イラッとしてきた。
でもこれ以外に何をすればいいかもわからないし、これを続けるしかないんだよな。
それと、いちいち瞬歩を使うのが面倒になったから、鉄板を掴んだままテレポートして、そのままテレポートで戻るという方法を編み出した。
そんな感じでどんどんテレポートをしていったら、なんか魔王の声色がわかってきた。
「おい!いい——かげんに——しろよ!——勝てない——ってわかっ——ただろ!」
そんなこと言われてもお構いなしに、どんどんテレポートを繰り返していった。
更に繰り返すと、魔王に余裕がなくなってきた。
「ほんとう——にやめろ——よ!俺には——効かない——んだよ!い——いかげん——わかれよ!」
行動にも変化が出てきて、なんとか当たらないようにかわそうと頑張っているのがわかった。
そのため、何かあるのかなと思い、そのままテレポートを続けていった。
続けていくと、あからさまに変化が出てきた。
「ほんとう——にやめて——ください」
(お?まさかこの方法が良かったのか?)
それから、何度もやめるように頼んできたが、無視して続けていくと。
「貴様、ほ——んとうに—やめろよ!」
と強気に出てくるようになったので、気にせずテレポートを繰り返していった。
それから、どれくらい続けたかはわからないが、テレポートを使ったはずなのに、テレポートができなかった。
「え?」
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