第73話 ダンジョン攻略 9
ログアウトすると、すでに深夜の3時を過ぎていた。確か、ログインしたのが、22時だから5時間、つまりは15時間ほどもダンジョンに入っていたことになる。
そこで僕はやっぱりいいことはないと改めて実感し、寝た。
翌日、というか約3時間後、僕起きて学校にいった。結局、眠すぎて全然授業に集中ができなかった。
なのでその日は、3回のログインだけして、他には何もしなかった。
その次の日の夜、僕は1日ぶりにログインした。まずやるべきことはクロエさんのところへ行き、ポーションを売ることだ。そうしないとまた、いろいろ言われそうだからな。まあ、まったく行かなくなればいいんだけど、それはそれで申し訳ないから、僕にはできない。
そして、いつものようになにごともなくポーションを売ることができた。こっちのギルドでは僕に注目する人はいなかったから、楽だった。
そう思うと、向こうのギルドには行きたくない。できるなら、こっちいたい。けど、こっちだとクエストが豊富でないから、やることがないのだ。
それに、あの街にも居づらくなったし、また拠点をかえるかな?
僕はそんなことまで考えるようになっていた。
まあ、しばらくは今の拠点で活動する予定だ。
そんなことを考えながら、この日はログアウトした。
そしてさらに翌日。
僕はようやくギルドに行く決心がついた。いろいろとめんどいけど、こればかりは仕方ない。
まあ、1週間もゲーム内で過ぎれば、少しは落ち着くだろうし。
そして、行ってみると僕に注目はしてるけど、誰も話しかけてはこなかった。これはこれでいいんだけど、なんか寂しいな。
とりあえず、前の報酬を受け取ってなかったので、それを受け取ろうと思い、その列に並んだ。
しばらくして、僕の番になった。
「こんにちは。報酬の受け取りですね?」
「はい、そうです」
「それでは、依頼書をお願いします」
僕は指示通り、依頼書を出した。
受け付けの人がそれを見ると面倒くさそうな顔をした。
「あの、冒険者さん?」
「はい、何ですか?」
「何ですかではなくて、なんで、10日も前の依頼書なんですか?!」
「いろいろありまして、来るのを忘れてました」
「忘れてましたじゃありません!こういうことをしないでくださいね!」
「えーと、なんですか?」
「それは、冒険者の方はいつも危険にさらされています。なので、帰って来ない人もいます。そういう帰って来ない人は、ギルドの登録からだいたい30日ほどで抹消されるんですよ」
「え?そうなんですか?でも、抹消するのは1年来なかった場合なのでは?」
「それはですね。依頼を受けてない場合は1年で、依頼を受けている場合が30日なのです。その違いは生存しているか、してないかなので」
「なるほど、つまり依頼を受けているのに帰って来ない場合は、死んだ可能性が高いのということですね?」
「そういうことです。なので、これからはやめてくださいね」
「了解です」
そして、ようやく依頼書の確認をし始めた。
今度、受け付け嬢は、その内容を見て驚いていた。
「すみませんが、あなたはこの依頼書にあるダンジョンを攻略したということでいいんですか?」
「はい、攻略?はしたと思いますよ」
「なんでそんなに曖昧なんですか?!」
「いや、ダンジョンをやるのが初めてなもので、何をもって攻略というのかわからないんですよ」
「はあ、そういうことですか。説明しますと、攻略というのは、そのダンジョンのボスを倒し、生きたまま外に出てくることができたことを指します」
「なるほど、それならできましたよ」
そういうとまた驚いていた。
「本当に、攻略できたんですね?」
「そこまで聞くなら、できてません」
「え?なんで嘘を言うんですか?!」
「なんで嘘ってわかるんですか?」
「それは、ダンジョン関係の依頼書だけは、この依頼書に成功したとか、いろんな情報が載るようになっているからです」
「じゃあなんで聞いたんですか?」
「それは、ここに書かれていることが信用できなかったもので」
「なんで信用できないのですか?」
「だってこのダンジョンは、未だ攻略した人がいないんですから。あ、あなたが攻略しましたね」
「え?それって普通なのでは?」
そう、ダンジョンが実装されて、今日で約50日ほどだ。なら、攻略が終わっていないものもあっておかしくはない。
「あ、言い方が悪かったですね。このダンジョンは挑んだ人はかなりいるのに、攻略できてないのが、おかしいんですよ」
「そんなに挑んだ人がいるんですか?」
「はい、すでに1万人は超えてますね。他のところは多くても1000人くらいなので」
「え?そうなんですか。でもなんで攻略者が多くないんですか?」
「それは、確かボスがおかしいと言う人が多かったですね」
「と言いますと?」
「なんでも物理攻撃、魔法攻撃が無効なんだとか」
「え?」
それって、ゲーム的にいいのか?普通はそんなモンスターは出さないだろ。詰むプレイヤーが増えるから。
「あ、そういえばあなたはどうやって倒したんですか?」
「えーと、それは秘密です」
「ですよね。ってそんなこと話している場合じゃなかった!」
そういうと慌てて、報酬を支払って僕に帰るように促していた。
そのことをおかしく思いながらも、その指示に従い列から外れ、後ろを見るとすごい行列になっていることに気づいた。
なんか悪いことをしたと思いながらも、僕はそのままギルドから出て行き、宿に行き、ログアウトをした。
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