第63話 新しい街 5

僕はギルドから出て、あることに気づいた。


「あ、そういえば、誰がどんなことを担当してるか聞いてないや。まあ、また聞くか、別の人に聞けばいいかな」


だから僕ははそのまま帰ることにした。今日はまだ昼の時間も過ぎていないから、街を探索しながら帰ろうと思った。


でも人の多いところには行きたくないから、裏路地とかの人が少なそうな場所を選んで探索して行った。


そして、しばらく探索していて、僕は完全に迷っていた。


今どこにいるかわからないし、ギルドの方向も宿の方向もわからなくなってしまった。


方向音痴ではないんだけどやっぱり裏路地は入り組んでいてわかりづらかったな。こういう時はとりあえず大通りを目指して進めばなんとかなると思う。


進もうと大通りと思われる方を探しているとき、人を偶然見つけた。


「お、人だ!おーい、そこの人、道を聞きたいんだけど」


そうやって聞いているのに返事はなかった。しかもこっちを見ているにも関わらず、だ。


「む、道くらい教えてくれてもいいだろ?」


そうやって僕は不用意にその人に近づいてしまった。


ある程度近づくと、いきなりそいつが斬りかかってきた。


でも、僕の持っている高速処理のスキルのおかげで、相手の動きがスローになった。少し驚いたが、すぐに意識を切り替えて、その攻撃を避けられるところにテレポートで移動した。


「おい!いきなり襲ってくるとか、びっくりするだろ!」


そいつは僕が避けたことに驚いていたが、それも一瞬でまた襲ってきた。


それを僕は再び避けた。


避けても殺せばいいと思うが、これがPKにはいるかもわからないし、それにこれでこっちにペナルティがきてもいやだから、殺すことは極力避けていきたい。


そういうことで避けているのだ。


それから僕がどんな言葉を言っても耳を貸さず、一方的に僕を襲ってきていた。僕がかわしているだけのことに切れたのかどうかはわからないけど、攻撃がどんどん増していった。なんて言うか怒りに任せて攻撃をしてきている感じがした。


「だから人の話を聞け!」


そんなことを言っても攻撃は緩まず、激しくなっていく一方だった。


でも、相手も疲れてきたのか、僕から距離をとった。


そいつはそのまま、どんどん距離をとっていき、見えなくなってしまった。


「ほんとなんだったんだ?」


僕は不思議に思いながらも先を進んで行こうした。


「って、結局道を聞いてないじゃんかぁぁぁ!」


それから1時間以上迷った末にようやく宿まで帰ってくることができた。


むやみやたらと知らない道は進まない方がいいと僕は実感した。


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