第55話 第1回討伐イベント終了

「まさか、俺を殺せるやつがいるとはな」


「嘘だろ?」


「俺を倒せたとでも思ったのか?まあ、死んだけどな」


正直首を刎ねても生きてるやつとか、信じられない。不死のやつが言うなって感じだけど。


ってことは、この魔王も不死?いや、それはさすがにないだろう。不死にしたら、その瞬間にクソイベントとかってネットで叩かれるだろうし。じゃあなんだ?


「そろそろ時間か」


そんなことを考えていたら、魔王がそんなことを言ってきた。


「ん?どういうことだ?」


「本当はこのままこの一帯を支配しようと思ったけど思いのほか消耗が激しくてな。また眠りにつこうと思っただけだ」


「なるほどな」


これで今回のイベントは終わりってことか。イベントは失敗ってことでいいんかな?


「まあ、最後に最高の置き土産をしてやるがな」


そして僕の意識はそこで途切れた。



気がつくと僕はまた真っ白な空間にいた。


「プレイヤーの諸君、初めてのイベントはいかがだったかな?」


運営の代表はそんなことを言ってきた。


「多くのプレイヤーはクソイベントというだろう」


まあ、確かにクソ、とまではいかないけど難易度の設定はおかしいと思ったのは事実だ。


「そして今回のイベントの結果は、失敗だ。よって全プレイヤーにはペナルティを発生させてもらった」


なるほど、ペナルティがあったのか。確かに魔王も置き土産をするって言ってたし。


「ペナルティは、もう理解してると思うが、回避不可能の死だ」


おい、マジかよ。さすがに運営よ、そんなことをしたら、多くのプレイヤーが去るだろ。


「と、これが今回の結果だ」


そう言うと、たくさんの数字が並んだものが現れた。そこに書かれていたのは、挑んだプレイヤーの数と死んだプレイヤーの数とこのゲームをプレイしてるプレイヤーの数だった。


「それで前置きが終わったところで、本題を話し始めようと思う」


前置きだったのかよ!ある意味ピンチなのに、それでいいのかよ。


「本題だが、それは今から実装された新機能を発表していく」


おお、新機能か。今度は何が増えるのかな?


「今回追加するのは、PKの解禁。そして復活の玉というアイテムの追加だ。それではまず、PKについてから話していこうと思う」


ついにPKが解禁されるのか。それに復活の玉か。聞く限りだと、ゲーム性が失われそうだけどいいのかな?


「PKを解禁するにあたって、あるシステムを導入した。それは、指名手配だ。つまり、賞金首になるってことだ。それとペナルティもいくつかある。ペナルティはNPCをキルするのとプレイヤーをキルするのでは、圧倒的にNPCをキルする方が重いように設定した」


まあこれくらいなら別にいいんじゃないかな?そんなことする気もないし、キルもされないし。


「ペナルティはやってからのお楽しみで。それと誤爆もペナルティが科せられるから気をつけるように。でもキルしなければ攻撃してもペナルティはないよ。でも拷問とか監禁とかリアルでも犯罪になることにはペナルティがあるから気をつけてね」


犯罪にもペナルティがかかるのか。それもする気はないけど、どうなるだろ?


「これくらいでPKの話は終わりだ。次に復活の玉について説明していく。まず聞いての通り、死んだときに復活するアイテムだ」


やっぱりそうか。それなら、ほんとに大丈夫なのかな?


「アイテムだけど、買ったり、報酬でもらったり、宝箱の中から出たりすることはない。じゃあ、どうやって手に入れるかだけど、それはゲーム内で30日間、リアルだと毎日3回10日間ログインすることで手に入る。それと復活の玉は、次にログインした時に全員に配布する予定だ」


へえ、ログインボーナスみたいなものか。


「以上で今回の追加要素の説明しては終わりだ。最後に、今回の魔王討伐で死んだ人は全員死ぬ前の状態に戻してあるから」


最後に温情なのかはわからないが、そんなことを言ってきた。


説明が終わったので僕はとりあえずまたログインすることにした。

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