第49話 討伐イベント 5

僕は翌月曜の夜にログインした。


ゲーム内では3日過ぎた計算になる。これくらい経てば盾くらいできているだろうし。


いつも通りギルドに行って、ポーションを売ってから行動を開始した。


ギルドを後にして例の武器店に行った。


例の武器店は相変わらず人がおらず、カンカンという音だけが響いていた。


いつも思うけど毎回同じ描写しかしてないよな。しかも悪いイメージだけだし。


まあ、本人前で言ったらまずそうだけど。だけどあのドワーフ切れた後、急いで取り繕いそうなんだよな。


理由はなんとなくだけどわかるし。


おそらく客が来ないから必死なんだと思う。やることは普通だしな。可もなく不可もなくって感じだし。


まあ、そのおかげで僕が行けるんだけど。ほんとそこだけはありがたい。


いつも通りカンカン鳴っているけど、1回だけ声をかけて待っていた。


すると前回とは違ってすぐに鳴り止んで、店主がこちらに来た。


でもこちらを見ると少し残念な顔をした。


それもすぐにやめて笑顔になって言ってきた。


「いらっしゃいませ。鉄板はもう出来てますよ」


「そうですか、ありがとうございます。それで値段はどれくらいですか?」


「えーと、10万ゴールドです」


「え?そんなにするんですか?」


「はい、これでも結構丈夫に作りましたし、それに大きいんで結構素材を使ったんですよ」


「そうなんですか。じゃあ、これで」


そう言って僕は大金貨を出した。


「え?」


「ん?どうかしましたか?」


「い、いえなんでもありません」


なんかあり得ないものでも見たような反応をしていた。


なんでか考えたが、何故そんな顔をするか特に浮かばなかった。


まあ、浮かんだことはぼったくり価格ってことだ。でも作ってあるならそんなことをしたら、売れないからそんなことをするはずがないし。


結局理由がわからなかった。


「それじゃあ、早くお願いしますね」


「はい、少し待っていてくださいね」


そう言って奥に行ってしまった。


しばらく待っていると僕の後ろ、入り口の方から店主が入ってきた。


「あれ?なんで入り口から入ってくるんですか?」


「それは鉄板が大きいのでここに入らないし、外にも出せないからです」


「ああ、なるほど。じゃあ外に行きますね」


そして外に出るとか店を覆い隠すくらい大きい鉄板が店のところに立てかけてあった。


「え?大き過ぎじゃないですか?」


「その調子に乗り過ぎてしまって気付いたときにはこうなっていました」


「まあ、これならあの値段も納得です」


「ほんとすいません。身勝手なことでこうなってしまって」


「別にいいですよ。それに大きい方がいいですから」


「ほんとすいませんでした」


その声を聞きながら僕は帰って行った。


すぐにしまいたいのになかなか店主か店に戻ってくれないから、そのままなんとか持って少しずつ進んでいた。


そして50メートルくらい進んだところでようやく店主が店に戻ってくれたから、すぐさま鉄板をアイテムボックスにしまった。


はあ、ようやくしまえた。最後の方がよっぽど迷惑だよ。


そして僕はこの日特に何もせずに宿に帰ってログアウトをした。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る