第48話 討伐イベント 4
武器店はいつものように人はおらず、カンカンと言う音だけが響いていた。
だから僕はいつも通り1回だけ声をかけて待っていた。
でも今回はいつもと違った。
声をかけても店主はでてこなかった。カンカンと言う音も響いたままだった。
だからさっきよりも大きい声で言った。
「すいません!」
今度は聞こえてたみたいでカンカンと言う音は止まった。
「はい、いらっしゃいませ。今日はどのような御用ですか?」
「作って欲しいものがあるんですけど?」
「わかりました。それでどんなものですか?」
「はい、鉄板を作って——」
「貴様、俺をなめてんのか?」
「いえ、そんなつもりは」
「武器店にきて武器以外を頼むとか、貴様何様のつもりだ?」
「す、すいません」
「はっ!すいません。つい熱が入ってしまいました」
「いえ、こちらが失礼なことを聞いたので当たり前ですよ。ほんとすいませんでした」
「あ、すいません。ちょっと語弊があるようで」
「どういうことですか?」
「別に鉄板を作ることは武器職人なら誰でも作れますよ」
「え?そうなんですか?」
「はい。でも作りませんけど」
「そうですよね」
「作りませんけど、何に使うんですか?」
「えーと、戦闘に」
「ほんと貴様なめてるんじゃないんだよな?」
「はい、まじめにやってます」
「なお悪いわ!ってまた!ほんとすいません」
このドワーフほんとめんどくさいところがあるよな。
「じゃあどこか作ってくれそうなところはありますか?」
「はあ?俺がいつ作らないって言った?」
「さっきはっきりと言ってましたよ?」
「そんなこと言うわけないだろ!俺が作ってやるよ」
めんどくさいけど作ってくれるならいいか。
「それでどのくらいのものがいいんだ?」
「2メートル2メートルくらいの大きさがいいです」
「厚さはどうする?」
「1ミリほどで」
「それなら大丈夫か?」
「大丈夫とは?」
「持てるかどうかだよ」
「ああ、それなら問題ないですよ」
「そうなのか?」
「はい」
「わかった、作っておくからまた取りに来い」
「わかりました」
僕は武器店を後にした。
武器店から帰ったのはいいけど、もうすることがないんだよな。やっぱりもうすこし武器店にいればよかったかな?
まあ、武器店でもやることはなかっただろうけど。
結局その日も宿に帰って複製だけしてログアウトした。
はあ、ほんとやることがなくて困る。Aランクになったのに討伐できないんだから。
無理してドラゴンなんか討伐するんじゃなかったよ。
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