第36話 討伐クエスト 5

僕はレッドタートルをアイテムボックスしまい、街に帰ってきた。


帰りはレッドタートルがいた湖から街の近くまでテレポートで移動したからすぐだった。やっぱり迷うとかそんなことはなかった。それにまだ日は暮れていない。


これならなんの問題もないと思いギルドの中に行ったが人が多いという問題にぶちあたった。まあ、気長に順番が来るのを待ちますか。


順番がくるまで変にからんでくる人はいなかった。でも皆さんなんらかの袋を持っていた。それが何かはわからなかったけど。


そう考えているうちに僕の番が回ってきた。


「あ、零さん無事だったんですね!本当によかったです。それでやはりクエストは失敗しましたか」


「いえ、倒したのですが——」


「え?倒せたんですか?!」


「ええ、一応は」


「それでレッドタートルの討伐証明するものはどこですか?」


「えーと、ちょっと複雑なんですが、アイテムボックスっていうのを持ってまして」


「え?本当ですか?」


「はい、そうですけど」


「ちょっと失礼しますね」


そういうとどこかに行ってしまった。僕は1人受け付けのところに残されてしまった。


でもすぐに帰ってきてくれたのでよかった。


「それで零さん、そのアイテムボックスにレッドタートルのどこの部位が入っていますか?」


「えーと、頭以外全部です」


「そうですか、それでは少々お待ちください」


そう言ってクロエさんは、列の整理を始め、並んでいる人だけを捌いて、こちらの方に来た。


「お待たせしました。わたしの後についてきてください」


そう言われたので大人しくついて行った。


ついて行くと、少し広めの部屋に入った。


「ここに持って来たレッドタートルを出してください」


そう言われたので出した。やっぱりこうやってみると大きいな。


「本当に倒しているなんて」


それからクロエさんはレッドタートルの鑑定をしているぽかった。


しばらくしてクロエさんがこちらの方に来た。


「今回の報酬金ですが、レッドタートルの討伐クエストとレッドタートルの甲羅の買い取りをさせていただきまして、こちらの金額になります」


僕はクロエさんが出してきた紙を見てまた驚いてしまった。そこには、10,000ゴールドと書かれていたからだ。


「あの、Cランククエストの報酬ってこんなものなのですか?」


「?はい、相場はこれくらいになりますね」


このとき僕は思った。お金を稼ぐなら、例のポーションの方がいい、と。


「それと零さん、レッドタートルは1人で倒したんですよね?」


「?はい、そうですが」


「それなら、零さんはCランクに上がりますよ」


「え?本当ですか?!」


「はい、ただしっかりとした手続きをしなければなりませんが」


「それにしてもランクが上がるの早くないですか?」


「それなんですが、Cランクに上がる条件がCランクの討伐クエストをクリアすればいいので」


「え?そんなに簡単なんですか?」


「簡単なわけないでしょ!Dランクの人がCランクの討伐クエストをクリアするのなんてほぼ不可能なんだから。だからここがある意味クエストだけで生活の中していけるかいけないかの境目でもあるんですよ」


「へえ、そんなんですか」


「ええ、ですが零さんの場合、ポーションを作って売っている方がいいと思いますけどね」


「確かにそうですよね」


「!ですよね!ならこれからは討伐クエストなんてやらないでくださいね!」


「いえ、それとこれとは話が別ですよ。これからも討伐クエストは続けていきますよ」


「なんでやめてくれないんですか!」


「そんなのこっちの自由じゃないですか!なんでギルドにそんなこと決められなくちゃいけないんですか!」


「そんなの零が重要な人物だからですよ!それくらいわかって大人しくしていてください!」


「それは無理ですね。それにそこまで止めるのなら、この街から出ていきますよ?」


「それはやめてください!」


「それなら、討伐クエストくらいやらせてくださいよ」


「分かりましたよ。ただ無理だけはしないでください」


「わかってますって」


「本当にわかっているんですか?」


そう言われたが死ぬことがないんだから、無理も何もないんだけどね。


僕はクロエさんから報酬をもらい、独房に帰り、ログアウトをした。




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