第32話 討伐クエスト 1

それから結の課題が終わるまで付き合っていたせいで、1週間まともにログインすらできなかった。結の課題も期限通りに提出させることができた。しっかり課題を見てやろうと僕は思った。こんなことになるなら、少しずつでもやらせていかないとこっちが大変になるからな。


見捨てるという選択肢は最初から存在してない。


そして今日は金曜日。ようやくゲームができる。しかも今日なら、長くやっていても明日は学校じゃないから存分にできる。


ということで徹夜をしたいと思う。まあ、途中で寝そうだけど。


そんなことよりもゲームだ。そう思いつつログインした。


いつもどおり独房に出て、ギルドに向かった。それもクロエさんにに会うのはリアルで1週間、ゲーム内だと3週間にもなる。はあ、なんて言われるんだろう。


そんな感じで憂鬱に思いながら、向かうとクロエさんが近付いてきた。


う、何を言われるんだろう?


「零さん!」


「は、はい!」


「早く来てください!」


そう言われ、受け付けの方に連れて行かれてしまった。


「あのー、なんで僕連れて行かれてるんですか?」


「もう零さんが全然来ないせいであのポーションがなくて困っているんですよ!だから早く売ってください!」


「ああ、そう言えば忘れてましたね」


「え?無いんですか?」


「いや、毎日作っていたのでかなりの在庫がありますよ?」


まともにログインはできなかったけど、ログインしてMPが尽きるまで複製はしてたから、それなりに溜まっているのだ。そのせいでMPも20万を突破したんですけどね。


「はあ、よかった」


「それでどれくらい売ればいいので?というか、なんでそんなに焦っていたんですか?」


「えーと、一応1000本ほどお願いします。最近急に需要が出てきてしまったもので」


「でもそんな多い数、どこに出せばいいのです?」


「あ」


それからしばらく考えていた。何か答えが出たらしく、こちらを見てきた。


「申し訳ないのですが、少しずつ出していただけますか?」


「はい、別に構いませんよ」


「ありがとうございます」


そう言ってどこかに行ってしまった。


少しして、数人の人を連れて、戻ってきた。


「それでは100本ずつ出してください」


僕はその指示通りポーションと劣化ポーションを100本ずつ取り出した。


「やはり多いですね」


そう言いながらも他の人に指示を出していた。指示を出された人は、数を数えながら、運んでいった。


それから約一時間後、ようやく1000本全てを運び終えた。


「えー、劣化ポーション、ポーションそれぞれ1000本確かに受け取りました。それで代金の方はこれでお願いします」


そう言って渡された紙には、300,000ゴールドと書かれていた。


「え?なんか買い取り額増えてませんか?」


「ええ、それは、今回のことでもう少し高くても売れると判断したためと零さんをここまで拘束してしまったお詫びも含まれているためです」


「そんなこと気にしなくていいのに」


「そうはいきません!こちらが一方的に欲していて、拘束してしまいましたので、これが妥当なのです」


「うーん?そうなんですか?」


「そうなんです。それでは改めてありがとうございます」


「いえいえ、それでこの後クエストを受けたいのですがいいですか?」


「え?クエストを受けに来たのですか?」


「?はいそのつもりですが?」


「本当に長い間拘束してしまい申し訳ありませんでした!」


「はいはい、そのことはいいですから、早くクエストの手続きをお願いします」


「申し訳ありません。すぐやります!」


クロエさんは何か気合いが入っていたがその理由はわからなかった。




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