第2話 有頂天

掲げた目標は「都会進出」

都会に行けばきっと今より充実した生活を送ることができるだろう―と。

だから勉強した。

必死に。汗水は垂らしていないけど。

決して、リア充に憧れただなんてそんな俗世に関する事など考えていないよ?うん。

それでも、元々田舎で何もすることが無かったという事も手伝ってか、勉強はとてもはかどった。


国語は無論日本人なので、勉強せずとも得点を取る事ができた。勉強したと強いて言うなれば漢字や漢文、歴史的仮名遣い、詩の種類等だ。ここらは苦手なので敵わん。

数学、数学は私の足を引っ張る。とりあえずは公式とやらを覚え頑張った。慣れしかなかった。

社会は語句の暗記、公民なんて楽勝だった。

理科、公式はもちろんの事、応用にも応用しなければならないのだが、

私の場合はひとまずそれらを全て置いておき、まずは語句を暗記した。

英語、英語は。うん。なんていうか日本人だから…ね?

正直に言うなれば、苦手な事に代わりはなかった。

長文とか萎える…。

単語はそれこそ楽勝だ。暗記すればいいし。書けば覚えれたし。

あとはリスニング、これは普段から洋楽を聞いていたので耳が自然と慣れていた。

以上が私が実践した勉強法である。



歴史で習った、「下剋上」

当時勉強のできなかった私は勿論聞き流していたのだが、

意味は下位の者が上位の者に実力で勝つ事

下剋上とはまさにこの事であった。

今まで上位の座に君臨し、デカイ面をした性格の悪い連中を蜘蛛の子を散らすように追い抜き、見事に一位の座を手に入れ、クラスの中心にもなった。

まぁ、一クラスで10人しかいないんだけどね。

だが、一位を取ったのは紛れもない現実で、みんな今まで私に特に見向きもしなかったのに急にちやほやもてなすようになった。

連中に取り巻いていた奴らは前の主には見向きもしなくなり、私に取り巻くようになった。どうやら彼らも前の主に仕えていたのは嫌々だったらしい。

私はこの時、人間の醜さというモノを目の当たりにしながらも敢えて何もしなかった。

みんなも何も言わず、何もしなかった。

平穏な日常が戻っていた。

まぁ、10人しか居ないんですけどね。

10人しか。

それからというもの、信用も期待もしなかった親は手のひらを返し、

私が欲しいと言った物を買ってきてくれるようになった。

ここで分かった事だが、親は機械類に相当弱いらしい。しかも中古。

どんなに頼んでもガラケーしか買ってきてくれなかった。

ガラケーばかり増えてもどうしようもないのでもう頼むのはやめることにした。

担任は親と一緒に喜び、校長までバンザイで喜ぶという始末にまで至った。

今までの私がとりあえず大人の世界では相当ヤバい子だったという事だけは卒業前に分かった。

知りたくなかったが。

まぁ、いいや。今の状況は悪くない。

向かうところ敵無し!


そして私は心の中で大声でこう叫んだ。


「私の時代キターーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

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