第17話 --1章 仲秋 Ⅲ--
--1章 仲秋 Ⅲ--
バスに揺られる。
窓から見える景色は秋晴れのいい天気だ。
運良くバスも座れるくらいには空いている。
なんだか朝からツイているんだかいないんだか私は複雑な気分になる。
未成年と夜を共にするなんて、どう考えても圧倒的にリスクのほうが高いはずなのに、私はなんだか浮ついていた。
「きっと会社にばれればクビだよね……」
私は少しは名の知れた大手の証券会社に勤めていた。
好き好んでなった職業ではないが、一部上場されている会社のネームバリューは信頼度が違うのか、趣味である買い物でときどき豪勢に使いすぎてしまうクレジットカードの審査とか、引っ越しの身元保証など、妙なところで役に立つ。
私には勿体ないくらいの会社だ。
この仕事の難点と言えば証券市場に時間を合わせるので、他の職業より幾分か朝が早いくらい。
だが、そのぶん終業も早いので、飲みに行くのには都合がいい。
いまは家からバスを2本乗り継いだ先にある日比谷支店で働いているので、銀座にもほど近い。
「だからつい、毎晩のように飲みに行ってしまう……」
だが、そんなことはいまはどうでもよかった。
考えるべきは、あの少年のことなのだ。
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