第11話 --1章 仲秋 Ⅱ--

飲めるだけ飲んで、バーを出た頃には深夜2時をまわっていた。


コートを羽織って表に出ると強い西風がほてった頬を急速に冷やす。


通りはほとんどのお店がすでに閉まっていて、閑散としていた。


タクシーを捕まえて、酔いつぶれたたーくんを後部座席に押し込む。


それから香山さんが助手席に、マコちゃんはたーくんがのびた後部座席へと乗り込んだ。


私だけが3人とは帰る方向が逆だった。


「みんなちゃんと帰るんだよーっ」


私は大きく手を振った。


「はーいっ。蝉尾さんもお気をつけてえっ」


晴海通りを南へ走り去るタクシーを見送ったのち、反対車線にまわるため交差点を渡った。


このとき私は1人だった。


散々酔っ払って足元もおぼつかない中で、


そうだ、


――そこで私は、彼を見つけたのだ。

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