第10話 --1章 仲秋 Ⅱ--

私の最後の恋は飲み屋で知り合った妻子持ちの男だった。


結局あまりの不毛さに耐えかねてやめたが、それ以来しばらく1人だった。


いまはもう付き合うとか面倒くさいのだ。


ときどき気が向いたときに遊ぶくらいでちょうど良かった。


いままでも女3人で飲んでいれば、声をかけてくる男も多い。


ただ最近はたーくんがその輪に加わっていることで、声がかかる回数が減った。


文句こそ言わないが、物足りなく残念ではある。


「残念だ」


私は言う。


「何がですか?」


マコちゃんが聞き返したが、私はあえて無視をした。


女はちやほやされてなんぼだと思う。


たーくんが眠ってしまったので、今度3人でクラブに行こうという話をした。


そのときにはいい男が見つかるだろうか。


私は今年のうちに30になってしまう。


焦りはあるが、達観もしていた。


がんがん飲んで、楽しく騒いで、それでいいじゃないかと最近は思う。


私は変われないだ。


良くも、悪くも、あの頃のまま。


先の事なんて考える必要もなかった。


ただ憂さを晴らすために人生を磨り減らすだけで必死だ。


まして人並みの幸せなんて望んではいけない。


いまこうして笑って過ごしているだけでも罪なのだ。


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