第6話 --1章 仲秋 Ⅱ--

確か昨日は仕事帰りに同僚たちと飲みに行ったはずだった。


がっつり残業したので、銀座に着いたのはいつもより遅い21時頃だ。


残暑も遠くかすみ、陽が沈む頃には外はすっかり肌寒い季節になったが、お酒がはいるときにそんなことは関係なかった。


とても風の強い日で、夜空は高く、月は流れる雲の切れ間から時折きれいなまん丸を見せていた。


しかし、私たちが見ていたのはもっと下の方にある色とりどりのネオンだ。


禍々しくも美しい雑多な光が私をいつも誘っている。


今日はどこで飲もうか。


頭の中はそれしかなかった。


毎日、飲む"こと"が楽しい。


毎日、飲む"だけ"が楽しい。


私はいつからかそう思い込むようにしていた。

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