玖 ‐キュウ‐
「あいつら、何者だ」
――餓鬼が。
捨て台詞に腹が立ち、隆弥は
「ナニサマだよ、あの
一人盛大に
履歴から呼び出した雅紘の番号に発信する。三コール目で繋がった
「今どこっ?」
「学生会室だけど、どうした?」
「楓も、そこにいるのか?」
雅紘の答えを予想していた隆弥は、学生会室に向かう足を
「いるよ」
「わかった。今そっちに向かっているから学生会室で話す」
一気に伝えると、通話を終了させる。
驚いて色めく生徒たちの間を
朝も同じことをしていたな。
ふと思いつき、今朝の光景が
歓喜に
その風を身に纏わせた、同じ学校の女子。
振り向いた時の冴え冴えとした双眸が、金色に煌めいていた。
ぞくり、とその時の
……何だ、あの雰囲気。
鳥肌が立つ感覚に
突風が吹きやむと同時に、がらりと気配を変えた女子生徒。自己主張をしなさそうな、
「あっ!」
記憶が呼び覚まされて、隆弥は大声を上げた。
隆弥に嫌みを告げた青年――柾矢が護っていた少女。
「あの女、今朝の――」
正門の所で見つけた、生徒。
同じ人物だと思い至った時、闇を纏う男の最後に発した言葉がはっきりと浮かぶ。
――風使い。
あの青年は、女子生徒を見てそう言い放った。
誰の目をも奪う、
人ならざる者。
学生会室の扉を乱暴に開けて、隆弥は声を張り上げる。
「
「どういうこと?」
隆弥の言葉に先に反応した楓が不審げに彼を見る。
「こっちが聞きたい。風使いは、朝凪一族だけだよな?!」
ズカズカと楓に歩み寄り、隆弥は
「隆弥。落ち着こう」
突っかかる勢いを感じた雅紘が静かに、だがはっきりと告げた。隆弥は言いたいことをぐっと
先ほどよりは冷静さを取り戻して、もう一度尋ねる。
「風使いは、朝凪家だけだよな?」
「ええ、そうよ。朝凪家の
楓は、はっきりと答える。
「闇のような化生が、今朝の女子生徒に向かって『風使い』とハッキリ言ったんだよ」
「……それは、本当なの? 朝凪以外の者を、風使いと?」
「あぁ、そうだよ」
隆弥のつっけんどんな言葉に「そう」と呟くと、楓は腕を組んで考え込む
「ところで、隆弥は何にブチ切れていたの?」
そっと楓と隆弥のやり取りを聞いていた雅紘が、横から口を
「風使いらしき女を護る奴に、ガキって言われたんだよ。……腹が立つ。アイツ、ナニサマだ?」
思い返し、怒りがぶり返した隆弥は、
ガキ――確かに。
その通りだ、と雅紘は心の内で同意した。しかし、これ以上隆弥の怒りに油を
「……それで、その二人は?」
思考を中断させた楓が、隆弥に問いかける。
「帰った」
「そう。でも、うちの生徒なら、いつでも接触できるわね」
隆弥の答えを聞くと、楓は
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