時は時として

其所にある風景


相変わらず暗い。覚えのない場所。

でも何度も視るその景色。

未だに何処にあるかは分からない。


おぞましいほどの暗い人型の影。

対峙するのはやっぱり見慣れた姿。


「まさか…アンタだったとはな」


何か言い合ってから、聞きなれた声で、はっきりと聞こえたその言葉。

それに対して、黒い影は何か言っているが、靄がかかったように、相変わらず聞こえない。

そしてその影が、何かを振りかざすように彼に襲い掛かる。



いつも視ている光景だ。

意味がないと分かっていても、彼の名前を叫んでしまう。




「黒猫さん―ッ!!」



この前から視るようになった続き。

影と友の間に割って入ろうとする、儚くも健気な存在。

友を庇うように立ちはだかるその少女は、普段の姿とからは想像できないほどに、凛としていて、美しかった。

それはまるで、

暗闇に差し込む一筋の光のように。


黒い影が触れた瞬間――。

少女は静かに崩れ落ちる。


何も思わないわけじゃない。

でも彼女の存在によって、彼は救われる。

これは間違いない。



だからこそ僕には――。彼には――。

貴方が必要なのだと思いました。

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