二章 ポテンシャルポシビリティー

其処にある風景

暗い。覚えのない場所。

だけど何度も視ている場所。


おぞましいほど

暗い人型の影。

対峙するのは

見慣れた姿。



「どうしてアンタが…」


親友の声がはっきりと聞こえた。

でもそれは一度きりで。

以降は、何か言い争うように言葉を交わしている。

次の瞬間、影が彼に何かを振りかざすように襲い掛かる。



意味がないと分かっていても、親友の名前を叫ぶ。

いつも見ていた光景。






――――ッ!!!




影と親友の間を割って入るように現れた存在。

どこからやってきたのか分からない唐突な存在。

あの少女だ。

陰に差し込む一筋の光のように

凛としていて、美しい。



大きく腕を広げ、親友を庇うように影と対峙する。

そのまま少女に振りかざされる何か。




そこで暗転する。



振りかざされる何かは

恐らく凶器だろう。

だがその対象は彼から彼女に移っている。


間違いない。

やはり貴方が必要なのだ。


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