最終確認
某休憩室
「納得なんて、してないからな」
あくまで抑揚の無い声で伝えれば、隣にいる男は笑みを浮かべた。
「分かっているさ。でも君の意見は聞いてないよ」
その言葉にあくまで一瞥するが、目の前の男は、変わらずただ笑みを零すだけ。
「僕の諦めの悪さは知っているだろう」
――知っている。そんなこと、昔から呆れるほど分かっている。
「他人からどう言われようが構わない。そこに希望があるなら、僕は地べたに這い蹲ってでも、縋り付くさ」
それ故に、自分が何を言ったところでどうにもならない事を男は理解している。
「お前がそうしたいなら、それでいい。俺も好きにするだけだ」
「始めからそのつもりだろう?丁寧に断りを入れるなんて、昔からお人好しだよ。君は」
変わらず男は笑みを浮かべている。
だがそれは困惑しているような、どこか呆れているような、どちらにも取れる笑みだった。
「どうなるか分からないけど。とりあえずさ、お互いの願いが叶うといいよね」
「ああ」
――本当にな。
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