第2話 神様との会話

僕は神様と出会った。

でもその神様は喋らなかった。

僕は学校の帰りに毎日神様に会いに行った。

『今日も来たの?』

「うん。神様に会いたくて」

『変な人』

「あはは。確かに変かもしれないけど…だって神様と話せる機会なんて滅多にないでしょ?」

『そうね。そもそも人間には神様は見えないはず。あなたが変わっているの』

「そっか。変わっててもいいんだ。俺は神様と仲良くなりたい」

『人間のくせに。神様が見えるからといって調子に乗らないで。神と人間が仲良くするわけないでしょ』

「そっか」

神様は少しだけ冷たい。

仕方ないことなのかもしれないけど、やっぱり寂しい。

『もう帰って。それから二度と来ないで』

神様はその後どこかえ消えた。

「神様?どこにいるんだ?」

何度呼びかけても神様は現れなかった。

その日以降何度も神社へ行ったが、神様は姿を現すことは無かった。

僕は考えた。

何故神様が現れなくなったのか。

そして僕は、土曜日に行ってみることにした。

今まで、土日はバイトや友達と遊びに行ったりしていて、行けなかったから、用事のない日に行ってみた。

すると神様がいた。

「神様。久しぶり」

俺が声をかけると、神様は驚いた顔をしていた。

『あなた…どうして』

「どうしてって…神様に会いに来たんだよ。今まで休日は行けなかったから、来てみたんだ」

『帰って』

「どうして」

『帰ってと言ってるの』

神様はそう言ってまた、どこかへ行こうとしていた。

「待って!神様待って!」

僕がそう言うと、神様は僕の方を見た。

『帰ってと言ったはず。何故いるの?』

「神様、僕神様を傷つけるようなことしたかな?」

神様は何も言わなくなってしまった。

「神様。僕、神様と仲良くなりたいだけなんだ。神様を傷つけたくない。だから、何かあるなら話してほしい」

僕がそう言うと、神様は僕に近付いてきた。

「神様…?」

「話をしてあげるから二度と来ないで」

神様が喋った。


「神は、人間と仲良くなるべきではないの。神は神。人間は人間。住む世界も次元も何もかもが違うの。だから仲良くなってはいけないの」

「でも…」

「ダメなものはダメなの。人間が神と仲良くなりたいというのを神が許すわけないでしょ。神は、必要以上に人間に干渉したらダメなの。神はあくまで人間を見守るだけ」

「そっか…」

「分かったのならもう来ないで」

神様はそう言ってまた、どこかへ行ってしまった。

それでも僕は、諦めたくなかった。

神様と仲良くなりたい。僕の頭の中はそれしかなかった。

僕は次の日も神社へ行った。

神様がいた。

『どうしてまた来たの』

「神様と仲良くなりたいから」

『あなたは昨日の話を忘れたの?神は人間と仲良くなるべきではない、そう言ったはず』

「うん。神様はそう言っていたね。ちゃんと覚えてるよ。神様の言う干渉がどういうもなのか僕には分からないけど、仲良くなるくらいはいいと思うんだ」

『私に神の掟を敗れというの?』

「神の掟?」

神の掟ってなんだろう。

神様はまた、僕のところへ来た。

「神の掟というのは、人間に必要以上干渉しない事。人間と仲良くしてはいけない。他にもあるけれど今言う必要は無いわ」

「そっか…そんな掟が…でも、僕…やっぱり神様と仲良くなりたい!」

「もう少し詳しく教えてあげる。前にも言ったけれど神様はそもそも人間には見えないの。神様が見える人間なんてほとんどいないの。だから神様が見える時点で、私達神はその人間に干渉しているのと同じなの。その人の人生にね。だから仲良くなるってことは必要以上に干渉しているってことなの。この言葉の意味…分かるわよね?掟を破ると神でなくなるの」

神で…なくなる。

神様が神様じゃなくなる。それは嫌だ。そしたら神様に会えなくなってしまう。

「神でなくなったら私は神界からのも現世からも消えてなくなるの」

神様が…消える?

それはもっと嫌だ。

「わかったならもう帰って。そして二度と来ないで」

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