第3話第Ⅰ部記憶
第Ⅰ部 記憶(Memory)
船で進むこと数時間後。
山を登り川を下り海を越えて辿り着く西のヴェルト大陸に世界の騎士を統一し、千年戦争を勝ち抜けた歴代の王と英雄が眠り三大天の女神の墓が建ってある。
天神暦七十六年十一月
ガンダルディキア門前
「来マシたぁ」
ダジェリンが門前に立ちルミルは護送されて政府兵が数百人馬車に乗り手には手錠をかけられていた。
ツヴェルフもザーロックも実の所五年ぶりの帰還で、政府の門は八重の門に張り巡らせこの最初の門に立つと分かる。
「ひょー、帰ってきたわ」
「だよなぁ・・・・政府に戻れて良かった」
「皆さんお話は後でとにかく先に入りましょう」
司祭がその門を抜けて続いてツヴェルフもザーロックが広い花畑の庭園に着いた。
「おーおー、おー久しい」
ブリュンが一足早く政府に来ていた三大天剣聖師のガイアスが手を振った。
「おめぇら生きてたんだな?お疲れ」
「ガイアス殿こそ此度の戦お疲れ様です。同時に次期ガンダルディキア皇帝の件おめでとうございます。」
ガイアスは照れながら黒いコートを着て七剣を背負い少年を待っていた。
少年は依然記憶喪失で政府の護衛がつき中央政府局がその門を開けて巨大な銀の門が開いて他の三人も何食わぬ顔で入り門が閉まった。
「ルミル?大丈夫?」
「え?あぁ・・・OK」
ルミルは、ツヴェルフと話してから大審議法廷に出廷した。
「マスターセラフィムが本日の審議を受け持つ。なぁ~に、若くて綺麗で美人に玉に傷だが、御前を助けてやる!ん?俺を信じろ」
「おう、ザーロックさん」
ザーロックはコートを着て少年を見届けて中央政府局二階の大審議法廷まで見届けるとハーディアス卿も階段を下りてきた。
「ほう、少年を見たが、セヴェーレ君に似ている。どうだ?君の見解を聞きたい」
「仰るとおり。だが、彼には一切の記憶が存在しない。大法廷を使うのに違った意味もあるのか、そうだと言えない」
無論今回の法廷では、世界から注目されるのは、今から十年前の日僅か七歳で騎士長に襲名したセヴェーレ・ヴェスタニエに関する審議だ。
大審議は法廷の中でも最高位の法廷。
ハーディアス卿はあのルーラシアの実息子の。
今回審議を行う異端審議拷問尋問官のアーメン・エルヴェルドランド・ソーメン卿・サーシャ・ベアトリーチェの二人だ。
少年の部屋は明るく巨大な天秤が動いていた。
「では、始め」
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