第13話 小鳥の声。朝日。そして服。
小鳥の声でうっすらと目が覚めた。
その次に眩しいほどの青空で意識が戻ってきた。
そして・・・
自分が服を着ていることに驚いて、飛び起きた。
「な、なん・・・で?」
寝ぼけて寒いからって服を着たんだろうか。
そう考えたと同時に、腰に激痛が走った。
これは・・・まずい。
記憶がない。何があったか思い出せない。
でも、これは・・・
「優太」
いつぶりかわからない、でも聞き慣れた優しげな声が響いた。
「起きたんだ」
心臓の音がうるさくて、その声がよく聞こえない。
「あ、さ、悟?」
何も覚えてない。本当に何も覚えていない。
実感があるのは、腰に確かな痛みが残っていることだけ。
「あのさ、覚えてないだろ?昨日のこと。」
「う、うん。何も・・・」
「本当に、一つも覚えてないのか?」
「うん・・・ごめん」
何があったかわからない。でも、何があったかは少しだけ見当がついた。
「はぁ〜、んじゃ、一から話してやるかぁ」
嫌がるそぶりを見せるどころか、嬉しそうな口調で話し始めようとした。
「な、なんだよ!一からって?」
「優太。お前が服を着ている理由、知りたいだろ?」
うっ。でも、そんなことよりなんで悟がいま家にいるのか、なぜそんなに嬉しそうなのか、なぜ俺の腰がこんなにも痛むのか、知りたい。
悟の彼氏・・・?はどうしているのか。
それが一番知りたい。
でも、そんなことを面と向かって悟に言い出せるわけがない。
言いづらいってのが一番だけど、悟の部屋に入ったことがバレるってのが一番つらい。
せっかく、理由はわからないけれど、悟が本当に久しぶりに楽しげに俺と話してくれている。
そんな、俺にとって最高の空気を壊したくない。
「昨日のお前、最高だったぞ」
悟は昨日の話をその一言で始めた。
その内容は、俺の予想をはるかに超えるどころの話ではなかった。
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