第12話 最後の「逃げ道」

嫌だ


嫌だ


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ





やっぱり、会えなくなるなんて嫌だ。


会えなくなるくらいなら、いっそのこと黙っておいて。


自分の気持ちをおしころしていたほうがいい。





でももう逃げない。






これが最後。






たとえ会えたって、会話すらできない関係なら


いっその事、もう二度と会えない方がいい。








冷蔵庫の前に立った。



悟・・・ごめん。



こういう時に、酒って飲むんじゃないかなって、子供ながらに思った。


飲める・・・のか?


少々抵抗はあった。


でも、なんというか、飲まなきゃやってられねぇ。


少しでも、忘れたい。


少しでも、忘れたい。



自分がこんな思いをするなんて思ってなかった。


適当な人を好きになって、適当な仕事について、適当に結婚できる。そう思っていた。


だから、『絶望的な片思い』に対しての覚悟が1mmもできていなかった。



服・・・着たほうがいいかな。


めんどくせぇ。




キンキンに冷えたビールを片手に、真っ暗な居間に1人。



プシュッと心地の良い音が響く。


嗅いだことのないような、苦く、芳しい香りが鼻を突いた。


ひとくち口に含んでみる。


苦い。


苦いけど、あの・・苦さとは全然違った苦さ。


飲めないものじゃない。


俺はいくらでも飲める気がしたのか、冷蔵庫の前に立って、ありったけのビールを抱えて居間に戻った。


飲んで飲んで飲みまくりたいけれども、急性アルコール中毒になんてなったら元も子もない、そういった冷静な判断くらいは出来るくらいまで平静は取り戻していた。


怖がりながら、少しずつ口に含んでいった。





でも、酒に逃げたからって、悟のことを忘れられるわけがない。


悟・・・


やっぱり、早く帰ってきて欲しいかも・・・



急に飲んじゃいけないとわかっていても、どんどんペースが上がってくる。


もう、止まらない。






悟・・・悟・・・






俺の意識がなくなる直前に考えていたのは、やっぱり悟のことだった。


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