第7話 やっぱりこれは「初恋」
店を出たとき、外はもう真っ暗だった。
悟は今頃、何してるんだろう。彼女と楽しくやっているんだろうか。
悔しいけど、家にいるより落ち着くんだったら、そっちのほうがいい。
悟のそばにいたいし、悟にはそばにいてほしい。
でもそれで悟が迷惑するんだったら、悟がさらに殻に閉じこもるくらいなら、
悟には自然でいて欲しいから、俺は悟にそんなことを強要したりしない。
はぁ、と一つため息をつくと、白い息が出て、もうすぐ冬なんだな、と思った。
・・・冬の長期休業に入る前に、この気持ちになんとかケリをつけたい。
このままだと日常生活にすら支障をきたす。
これは『初恋』なんだ。さっさと諦めてしまえばいい。
もっとも、恋愛対象が女じゃない時点で、常識的に終わっていると見られてしまっても仕方がない。
自分を偽ってでも女と付き合いたいなんて思えない。
そういえば俺って、男が恋愛対象なんだよな。
でも、俺は悟以外には恋愛的な魅力を感じすらしない。
ってことは、このままいったら・・・
『初恋』に敗れて全てが終わる最悪な人生になりかねない。
・・・そんなもんだよ。人生なんて。
まぁ、今は悟しか見えてないからこんな感じなのかもしれない。
悟との関係にケリをつけられれば、見える世界も変わる、のかもしれない。
遠くない将来、自分で決断する時が来る。
はぁ、と一つため息をつくと、白い息がでて、もうすぐ冬なのに、と思った。
さっさと帰ろう。俺にとって人の多い道を歩くというのは苦行だ。
やることはいっぱいあるんだ、気力はないけど。
家の扉の前で、右ポケットに鍵がなくてちょっと焦ったけど、左ポケットに入っていて安堵した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます