第7話 やっぱりこれは「初恋」


店を出たとき、外はもう真っ暗だった。


悟は今頃、何してるんだろう。彼女と楽しくやっているんだろうか。

悔しいけど、家にいるより落ち着くんだったら、そっちのほうがいい。

悟のそばにいたいし、悟にはそばにいてほしい。

でもそれで悟が迷惑するんだったら、悟がさらに殻に閉じこもるくらいなら、

悟には自然でいて欲しいから、俺は悟にそんなことを強要したりしない。


はぁ、と一つため息をつくと、白い息が出て、もうすぐ冬なんだな、と思った。


・・・冬の長期休業に入る前に、この気持ちになんとかケリをつけたい。

このままだと日常生活にすら支障をきたす。

これは『初恋』なんだ。さっさと諦めてしまえばいい。

もっとも、恋愛対象が女じゃない時点で、常識的に終わっていると見られてしまっても仕方がない。

自分を偽ってでも女と付き合いたいなんて思えない。


そういえば俺って、男が恋愛対象なんだよな。

でも、俺は悟以外には恋愛的な魅力を感じすらしない。

ってことは、このままいったら・・・


『初恋』に敗れて全てが終わる最悪な人生になりかねない。


・・・そんなもんだよ。人生なんて。

まぁ、今は悟しか見えてないからこんな感じなのかもしれない。

悟との関係にケリをつけられれば、見える世界も変わる、のかもしれない。


遠くない将来、自分で決断する時が来る。


はぁ、と一つため息をつくと、白い息がでて、もうすぐ冬なのに、と思った。


さっさと帰ろう。俺にとって人の多い道を歩くというのは苦行だ。

やることはいっぱいあるんだ、気力はないけど。


家の扉の前で、右ポケットに鍵がなくてちょっと焦ったけど、左ポケットに入っていて安堵した。

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