第4話 やってきました金曜日


・・・やってきました。金曜日。

巷では「花金」(・・・古いか)なんて言われている万人共通で嬉しい日。

明日は俺も補講も授業もないし、最高の日だ。

・・・悟が家にいれば、もっと最高なのに。


悟は金曜日はなにがあっても決まって何処かに行ってしまう。

多分、仲のいい友達の家とかに泊まっているのだろう。

彼女・・・だったりするのかな。


「べ、別にいなくたって困ることなんかないし、つーか飯作んの一人分でいいから超楽!」


俺のヤケクソは、無情にも空っぽの家の中に響く。


確かにいなくて困ることはないというか、むしろ楽なのは確か。

でも、いて困ることもないし、いて欲しいし。


毎日三食(弁当含む)を作るのは俺の仕事。

悟も料理はできるし、上手なんだけど、とても作ってくれと頼める状況じゃない。

悟のために毎朝早起きして、勉強時間削ってまで夕飯を作る。


好きでもないやつだったら、たとえ一緒に住んでいてもこんなことはしない。


悟も、食事中が家にいる時間の中で一番落ち着いているとおもう。

学校では、常に猫被っておかなきゃいけないだろうから、相当ストレスがかかっているはず。

過度なストレスから、俺に八つ当たりをすることだってある。


正直俺自身、なんでこんなやつが好きになっちまったのかわからない。

外見は完璧と言ってもいいほどだが、こんな性格した男好きになる女なんていないんじゃないか?


・・・でも、もしあいつが彼女のうちに入り浸っているとする。


ということは、その彼女は悟になんら不満を抱いていないことになる。


それなら、その彼女がよほどの物好き(=ドM)でない限り、


悟は俺に対しての態度を、彼女にはとってないってことだよな・・・。


・・・悟って、俺のこと、どう思ってるんだろう。

てか、絶対嫌ってるだろ。

どう考えたってそうだ。そうに決まっている。


毎日顔をつき合わせていなくちゃいけないことに、嫌気がさしているから

頻繁に外泊してるんじゃないのか?


・・・嫌なら嫌って言って欲しい。そういうもんだよな、人間って

いや、好きだってことに越したことはないんだけど


くそっ、こんなことは考えていたって仕方がない。せっかくの週末が台無しだ。

1人で過ごす週末なんか慣れっこだろ!自分!


飯でも作って、気を紛らわそう。せっかくの週末だ、満喫しなければ…(使命感)


冷蔵庫を開けて俺は、絶句した。

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