第一章 花のさかり、夏の香り
「休み中の諸注意は以上。なにか質問はあるか?」
もちろん、手をあげる者などいない。
誰もみな、自由を渇望しているのだ。
起立! 礼!
今学期最後の日直が号令を終えないうちに、長い訓示から解放され、はじけた教室は喧噪のるつぼと化した。
早々に廊下に走りだす者たち、レジャーのスケジュール合わせに余念の無いグループ、部活の準備をはじめる体育会系。
(いいな、釈放されて……)
(休みがはじまっても、あたしは勉学の
逃避するように視線を泳がすと、開け放った窓から夏空のまばゆい雲が陽光を反射して、網膜を射た。
教室の正面に逃れたしかめっつらに、今度はブラウスの胸が飛びこんでくる。
とっさに身を引いたが、それが見慣れた栗色のロングウェーブをゆらしていることに気がつくと、良子は脱力して机に突っ伏した。
前席に腰をもたせかけて立つ、くるっくるのドールテイスト、こんな派手な髪型が許されるのは、おそらく校内で彼女だけだ。
「またヘンなこと考えてるう? 良子」
「ウツだ……」
くくっと屈託なげにほほえんだ
しかられた犬のような顔で、薄目をあけた瞳に〈喫茶マカロン・夏期シフト〉という表題がとびこむ。
「あ……シフト出たんだ。お父さんは?」
「成績に支障ない限りは、いいって」
「ふうん、いいなあ菊花んちは、信頼っていうか」
厨房に立ってると思われてるみたいでえ、と菊花は語尾を伸ばす独特のしゃべりで楽しげに笑った。彼女は洋食屋の――それもいまどき珍しいアットホームな手作りの店――ひとり娘なのだ。
料理修行のつもりでゆるしたアルバイトが、メイド喫茶の給仕と知ったら、彼女の両親はどんな顔をするのか、想像すると良子は笑えなかった。
「放任されてるだけよお」
脚を組み、胸をそらした菊花は、のんびりした口調を引きうつしたように、寄りかかった前席ごとバランスをくずして、かばんを放り出し、
「あ、わ⁉」
ガタンっ! と――机とイスだけが前のめりになって、振り子のように揺れ戻し、再び定位置におさまった。
イスごとひっくり返りそうになり、助けを求めて宙をかいた細腕を、人間ばなれした速さでフォローした良子の腕がつかんだのだ。
「大丈夫? なんかカバン、ヤな音」
「そう? 今日カバン、
ぽ、と言いかけた菊花が、よろめいた拍子に投げ出した手さげを、あわてて拾い、抱えあげる。
ざり、と異音。
おそるおそる、のぞきこんだ先に、キッチンペーパーやハンカチでくるまれた二枚の白い小皿が、四つの破片になっている。
「また……?」
「ん、逝ってる……」
失望の吐息をもらしつつ、ゆるゆると座席を整える背中に、
「これ、何枚め?」
「五枚……」
「高校入ってから、そんなに⁉」
「ん……、今月入ってから」
気にいってたんだけどなあ、と続いた消えいりそうな声に慰めも見つからず、あえなく昇天したレリーフ付きの〈リチャード・ジノリ〉が、厳重に包まれ、カバンに押しこまれるのを眺めた。
ちょっと天然の入った友人の、この手の失態は今に始まったことではないが、才媛佳人の彼女には、それさえも花を添える個性のように良子は感じている。
「で、その料理研究会は?」
「そう、うちのクラス、早く終わったからさあ。
「じゃなくて、夏休みの間、活動よ」
「ああ……。各自、家事手伝いなど研究にはげんでください、解散っ、だってえ。週一くらいで集まろうかって、みんなで話してるんだけどね」
名物の顧問、おばさん先生のまねで口をとがらした彼女は、おどけていても、どこか
ためいき。
机に伏せたまま、上目づかいに見上げた。
(……菊花、料理得意だもんな……)
良子が親友と目している少女は、ほかにも取り柄ばかりだ。
成績優秀、スタイル抜群、輝くほど可憐な顔立ちにはどんな髪型でもよく似合う、ひかえめに言ってもお嬢様。
さっきのような
「あの、スキがある感じもいいよな」
「つか、そこが、いいんじゃね?」
などという率直な、下から目線の評価を、知らぬ良子ではない。
対して――。
良子の成績は、後ろから数えたほうが時間の節約になる。
特技と言えば、少し走るのが速い程度で、堂々と受け取れるテスト答案は現国くらいなのだが、漢字と朗読は苦手。
頭を抱えると、へそ曲がりのクセっ毛にふれてしまう。
床屋に驚かれるほどヘンな位置に乱立したつむじのせいで、ピンピンと奔放にはねた黒髪は、どんなヘアスタイルも受けつけないのだ。ショートカット――というより、消去法の袋小路が定めた
黒目がちな瞳で菊花を見つめると、
「なに?」
と、不思議そうに見返してくる。
(小学校から、何度この笑顔に助けられてきたか……)
ねたむような、羨望を含んだ目つき。
(いかんいかん)
ぶんぶんと頭を振る。
(いまさらコンプレックス? 短髪すずしくて結構、コンパクトな体型も競技に有利……な場合だってあるでしょ)
目を閉じると、劣等感が喚起させた、気まずい居間の光景がよみがえった。
――その日。
犬を飼うことをせがむと、父はなぜかとても喜んだ。
飼いたくもない犬を、ねだったことも知らず。
喜び半分で返す、笑顔。
残りの半分は――。
――ねえ、良子。
「良子ってば」
「は?」
「意識、飛びすぎでしょ。どこ行ってたの?」
「ああ、ちょっと……〈テンプテーション〉?」
「気に入った? あそこ」
菊花はノドを鳴らして笑い、息がかかるほど顔を寄せると、心なしか口調があらたまって、
「それで……部活には、出ないってことね」
「また……聞きにくいことを、ズバると言うね」
「ズバりと」
「今、あたし噛んだ?」
深々とうなずく菊花に、良子はどこかあいまいな、決意めいた表情をつくると、うんざりしたように、
「うーん、やっぱり……出づらいんだよね……」
「そう、ならいいよ。足が痛いって言ってあるんでしょ?」
あっさりと話題を打ち切った菊花は、「帰ろう」とうながした。
のろのろとイスを立った良子が気合いをいれるようにバキバキと指をならすと、教室に居残っていた男子生徒たちがギョッと振り向く。彼らはたわむれに黒板に向かって〈サマーホリデーズ〉とチョークで大書きしている。
(アホか、夏休みはサマーバケーションだろ、いいなあ男子は、悩みがなくって!)
なに見てるんだよ、と言わんばかりのにらみを効かせると、彼らは情けなくも、あわてて黒板に向きなおった。
菊花はあたふたと、場をとりなそうとして、結局手足をバタつかせて口をつぐむ。彼女の脳裏には、中学校時代のケンカっぱやい友人の姿が思い起こされていた。
あちこちにばんそうこうを貼った顔で、大柄の不良生徒を組み伏せている、勇猛果敢な闘犬の姿だ。
怖いもの知らずに笑っていながら、目は笑っていない、挑むような。
「帰ろうよお」
「ん、行こ」
気をそらされて、良子はつっけんどんに言うと、教室のドアをくぐろうとして――できなかった。
夏服のシャツも、さわやかに。
実際のところ、彼は長身を活かして開口部をおおっていて、またそうでもしないと、頭に血がのぼった小柄な良子を、引き止められはしなかっただろう。
「どしたの南部?」
「いや……さっきから呼ぼうと。声かけづらくてな」
「いつから」
「指、鳴らしてたあたりから」
さっさと呼んでよ、と涼しい顔でクレームをつけるとともに、最近のクセで、後ずさって距離をとった。
良子は男子生徒を呼び捨てにするという特技を持っており、彼と特別な関係というわけではない。
やはりぶっきらぼうに、
「で、なに?」
とたずねる良子を尻目に、なぜか南部はいざなうように廊下へ出て行った。
引き止めておいて背中を見せる彼を、菊花もいぶかしんだ。
良子は自分とは違う、素直な短髪を中途半端に伸ばした後ろ頭を追って、教室を出る。
すでに生徒の姿は、まばらだった。
「あのさ、
「だから、なによ」
隣りで傍観していたために、いくぶん冷静だった菊花は、事態を察すると口を曲げ、額に手をあてる苦渋のしぐさをつくる。
南部が、手にしていたプリントをさりげなく渡すと、そこには〈夏期不振者補習日程・数学Ⅰ〉という印字が、いたずらな悪魔のように踊っていた。
「先生に頼まれてさ」
オレ日直だったから、とつぶやくような声を、良子は遠くに聞いていた。
(こういう書類を他人に渡すかあ⁉ 人権侵害!)
立ちすくむ蒼白な顔に、
「あ、オレも補習あんだよな。物理だけどさ」
小さな目を伏せるようにして、そそくさと南部は去っていった。
ひかえめなバイバイで見送った菊花は、これ以上ないくらい落とした肩へ、なぐさめるように手を置いた。
あいつ、あれでも気を使ってるつもりよ、と。
「あんなものを男子に渡すとは……〈シグマ〉のやつ、なんという
「いまどき、そんな罵倒語もないと思うけどね……」
無駄にカッコいい呼び名、シグマはクラス担任のあだ名である。
不振者の「不振」とはつまり一学期の成績が、かんばしくない者の意味であるが、進学校でもない彼らの高校における補習とは、すなわち赤点補習をさしていた。
良子は憤慨していた。
「あたしの高校生活もこれで終わった……!」
嘆きの淵に沈む良子と、「なぐさめる」というより「なだめる」菊花が二人、人影もまれになった下校路をたどっている。
校外に出たとたん、ぎらつく太陽は、容赦ない日差しで蹴りつけてきた。
立っているだけで汗ばむ陽気のなかを、激昂する罵声が、むなしく空気を震わせている。
やがて疲れたのか、あきらめがついたのか。がっくりと落ちこむと、二人は押しボタンの前にたたずんで、青信号を待った。
一帯は新興住宅地であり、まだ雨風の侵食が浅い色とりどりの屋根は、ちりばめたジェリービーンズの彩りだ。しかし良子のうち沈んだ心は、カラフルな風景をセピアに見ていた。
「暑いなあ……」
つぶやきに、菊花は目を細めて思案顔になる。すでにあらかた下校を終えたのか、他に信号待ちの生徒はいなかった。
「ねえ、
菊花が慎重にしぼりだすと、すぐに八重歯の笑顔が返り、
「元気だよ、元気あまってる。予防接種とか、いろいろ終わったし。休みの間、ずっとあたしが散歩連れてくことになっててさ」
「そりゃあ、そうだよねえ」
質問しておきながら、菊花は歯切れ悪く答える。
(聞かずにおけば、良子はきっと、あそこに行けないまま……)
目を伏せて、口もとを引き結んだまま言葉をつなげる。
まるで自分をいさめるように――。
「成績にまで悪影響、となるとちょっと深刻だね……」
「やっぱり気にしすぎ……だと思う?」
「思うよ。だって私は気にならないし、クラスの誰も、気づいてないと思うよ」
良子は応えず、唇を薄くひらいたまま、本日四枚目のハンカチで額の汗をうとましげにぬぐった。
(今日みたいに暑い日は……!)
ことさら汗が気になるのだ。
この数ヶ月、良子は深刻かつ重大な悩みを抱えていた。
菊花は実際のところ、彼女が悩むほどの問題だとは認識しておらず、まして気になって授業や勉強に集中できない、というほどの苦悩とは到底考えられなかった。
しかし彼女の態度が、日々消極的になっていくのを、放っておくこともできない。
信号が青に変わった。
車など一台も通らない。
「……調べたんだけどさあ」
歩きだしつつ、菊花は言葉を続けた。
いつもならゲンをかついで、横断歩道の白線を目がけて跳んでいく野生児が、今日はとぼとぼと歩いている。
「潔癖性、ってあるじゃない?」
「……汚れとかが、極端に気になるっていう?」
「そうそう、それかもよ、きみは。普通は気にならないようなことが、気になるんだから」
「ううん……」
にじむような配慮が伝わって、良子は返答につまった。
横断歩道を渡り切って住宅街に入ると、すぐに良子の通学路は終わる。
しばしの無言。
ひとあし早く夏休みに入ったのか、塀の角からあらわれた小学生の一団が、陽気な声をあげて脇を走り抜けていった。
歓声が走り去ると、良子は静かに歩みをとめる。
たどりついた十字路は、二人の家路の分岐点だ。
「じゃ、また」と、背中を見せたスカートをつかんで引き止めると、菊花は待っていたように振り向いた。
その顔を、直視できずに、
「アイス食べていかない?」
「いいねえ、いただくわ」
意を決した誘いを、菊花はおかしそうに笑う。
張りつめた肩の力を抜くと、かなたに正午のサイレンが響いた。
十字路からの道は、車が速度をあげにくいよう、クランク状に折れ曲がって続いている。
ならび歩いて、ちょうど百歩。
ベージュの外観とレンガ飾りがまぶしい欧風住宅の門前には、相応に色あせた〈柊〉の表札が取りつけられていて、三人分の名前の脇に、油性ペンでくっきりと千代丸の名前が添えられていた。
「お邪魔しまあす」
どうぞ、と良子がこたえる。家人は不在なのだ。
来客を居間に待たせ、冷蔵庫に頭を突っこむと、お気に入りのバニラが二本残っているのを見つけて、口もとをゆるめた。
菊花はと言えば、勝手知ったる他人の家で、座卓の横にクッションをならべて、居心地よく整えている。
居間の奥には、真新しい木製のケージがすえられていて、なかには食べかけのパンのようなものが転がっていた。
パンは大きく伸びをした。
それは、飼い主を出迎えるでもなく、いぎたなく眠っている白い子犬だった。
大きく伸びて生き物であることを主張したそれは、無防備にゆるみきった横腹をさらして寝返りを打つと、小さく牙を鳴らしてあくびを閉じ、二度寝をはじめる。
「大きくなったねえ」
「さわっていいよ」
「デリケートよ。気がついてくれるまで待つわ」
「これのどこが」
室内には、あたためたミルクのような、名状しがたい匂いがただよっている。
カバンにあった皿……割れ物を手早く隠蔽した共犯者たちは、座卓について、しばし無心でアイスクリームをほおばった。
ほおばったまま、無気力な生き物を眺めている。
クウクウと震えるいびきの寝姿を、良子は冷淡に見ていた。
幼いころ近所にいた、よく吠える恐ろしい犬のイメージが脳裏に再生したのだ。
(
じっと見つめていても、目覚める気配はなかった。
格子のかたわらで額をなでると、
クシャッ。
小さなくしゃみをして、そのまま三度寝に落ちていった。
菊花はくすくすと笑ったが、良子の眉根は再び軽蔑のかたちをつくる。
「ねえ、どうしてちよまるだっけ?」
「なんかね……お母さんの好きな俳優だかアイドルだか」
「ああ、そうなんだ。
「どこが?」
「ん……見た感じ日本犬のミックスだし、白くて、和犬、って感じ。だから」
「だから?」
「千鶴さんのなかで、かわいい名前、ってのはさあ。古風な名前ってことなんじゃない?」
ちょっと困ったような顔で、良子は頬を染めていた。
今度は二人、くすくすと笑いあった。
網戸の向こうから、背筋の伸びるようなラベンダーが香ってくる。
また、くしゃみ。
駄犬を見るまなざし。
ノドを鳴らして笑う声で、良子は我にかえった。
良子が、とっくに腹中にしたアイスクリームを、のんびり屋の友人もようやく食べ終わったようだ。
「かわいいね」
「かわいいというか、だらしないというか……」
「もう少し慣れてから、触らせてもらうわ」
「あたしなら、速攻で頭をなでにいくのに」
遠慮がちな態度に、良子は少しだけ、じれた。
「あ、出てきた」
やっと話題の中心にいるのを察したのか、千代丸は起きあがると、だるそうにケージをくぐった。しっかり立った肉厚の耳と、カールした尻尾が、和犬の特徴を備えている。
「おはよう、千代丸ちゃん」
菊花のあいさつに機嫌をよくしたのか、大きく尻尾を振ってヒザの前に座り、きゃん、とひと声。
戸棚から取り出したビーフジャーキーが、良子の手から放物線を描くと、子犬は曲芸よろしく、振りむきざまに牙でキャッチした。
「すごおい!」
「こうゆうヤツなのよ。食い意地ばっかり」
追加のジャーキーを手にした菊花に愛嬌を振りまくと、千代丸はつぎつぎとおやつを平らげ、ひとしきり食べて満足すると、今度は遊びを要求して、甘えるようにヒザに頭をすりつけ始める。
「あ、やばいスカート、毛がつくよ……菊花、短いクセに、けっこう抜けんの」
「いいよお、そのくらい。
菊花は脚に挟んで仰向けに抱くと、頭をしめつけ、牙をつかみといった彼女なりの遊びをはじめ、あげくは歯グキのゴムパッキンを触ったり、前足を握ったりとエスカレートするも、当の本人は「耐えている」というより「気にしていない」様子だ。
「これだけされても、怒らないわねえ」
「……なんか、試してる?」
「ちょっと、賢さチェック」
「結果は?」
「微妙ね」
「アホの子ほど、かわいいのよ」
なぜか誇らしげに八重歯をのぞかせた良子に、菊花は花弁の唇をほころばせた。
「さあて、春以来だから、バイトの準備もあるし」
そろそろおいとまするわ、と、なごり惜しそうに毛皮をなでると、来客はクッションから体を起こし、良子はホネ型のおもちゃを囮に、千代丸を居間に押しとどめると見送りに出た。
二人は門柱の脇にしつらえてある、ベンチ式の小塀の横に立つ。
「あたし……シャンプー、変えてみたんだけど」
「あ、
「うん」
少しひざを曲げて顔をうつむけると、菊花も心得たもので、ローファーのつま先を立てて背伸びをした。
彼女の身長は、良子より頭半分ほど高い。
色素の薄い瞳が近づき、鼻先が香りを聞くように黒髪のてっぺんにあたると、良子の頬は熟したホオズキのように上気、紅潮した。
おずおずとまなざし、
「どう……かな」
「いい香りよ、ぜんぜん大丈夫。シャンプーの香りが無くたって、きっと大丈夫だよ」
とたんに、大輪を咲かせたように良子の顔が明るくなった。
つられて菊花も笑いかえす。
「ごちそうさま」
アイスの礼を言うと、日差しをさけ、手をかざす。
じゃあね、とお互いに手を振る。
良子は、今度こそ明るく手を振って「連絡するから!」と友人と別れた。
遠ざかる背中に、ロールした髪がゆれる。
真似をして手のひらを陽にかざす。
百歩離れた距離から再び手を振りあって、十字路を曲がる姿を見送ると、良子は満足したように玄関をくぐった。
陽光は午後に入っても弱まる気配を見せない。
街灯に、白黒模様の小鳥が、みじろぎもせずとまっている。
頭の真っ白い、それはエナガだ。
逆光で、良子からは見えない位置だった。
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