純情乙女の男子模様(3)
「告白、できなかったんだね、松林君」
「エスパーめ、なぜ分かる…」
その日は近くのコンビニで買った物を広げ、屋上で食べていた。
「そりゃあ、そんだけテンション低いんだから誰が見ても分かるでしょ。ねえ、孝太郎」
「いつもはさー、もうちょっと上がってるよね」
「孝太郎君、でいいかな」
「はい?」
癖の強い黒髪の男子に、メガネのエスパー男子、眠そうな男子の三人といういつものメンツのところにやってきたのは、意外な人物だった。
「わ! 亘先輩じゃないですかー、今日も一人ですか?」
「あははは…。一緒にいいかな?」
「どうぞ」
遠藤が黒髪男子の隣に詰め寄り、間を開ける。
三角形から四角形になった。
「二人は、孝太郎君のお友達?」
「はい。遠藤渚です」
「松林、
メガネ男子と黒髪男子は、青の縞が少し入ったネクタイを着ける、一つ上の男子に自己紹介をした。
「僕は近藤亘。ごめんね、お邪魔して」
「いえ、それはいいんですが…彼女さんは放っておいていいんですか?」
「ヨウ、お前知らないのか…?」
「すごいね、逆に知らないっていうのは初めて聞いたよ! …あのね、僕、最近彼女と別れたんだ」
「フラれたんすか」
「…ううん。僕から一方的にお願いして、逃げた」
「情けないよね」と頬をかく亘に、三人は何も言葉を発せなかった。
「僕ね、孝太郎君のお兄さんに嫉妬したんだ」
「兄貴に、ですか」
「うん。小学校から一緒なんでしょ、二人とも。僕がこんなに弱い男だから、遼太郎君みたいになれって言われて。ちょっと…頭にきたっていうか、傷付いたというか。それで」
「勢いで言ってしまった、ということですね」
「…さすがエスパー君、だね」
「先輩にまで浸透してるなんて…」
「てへぺろ」
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