不良と、めげずに走る犬(3)

「美由ちゃん」

「なんだ、あんたか。何?」

「ひとつ、気になってたんだけど、いいかな…?」

「なによ、早く言いなさい」

 放課後、誰もいない図書室。そこでふと、去年、遼太郎と話した出来事を思い出し、折角なので彼女に聞いてみることにした。

「遼太郎君とは、どういう関係?」

「関係って…ただの友達よ、小学生からの付き合いだね」

「小学生…」

「てか借りてきたんでしょ、私もう帰りたいんだけど」

「ただの、友達…?」

「まだその話し続けるの? ……はぁ。あのね、この際はっきり言うけど、あんたみたいな優柔不断で弱弱しい男は嫌いなの」

「じゃあ、どういう」

「まあ、例えるなら遼太郎じゃない? あいつはっきりものを言うし、バスケの副主将で人気者だし。あんたも少しは見習いなさいよ」

「…………じゃあ、別れようか」

「はあ?」

「み、…渡辺さん、僕と、別れてください」

「あんた、何言って」

「さようなら!」

「ちょっと!」


 彼氏は走って図書室を出て行った。

「うそ、でしょ…?」


 有名カップルの破局は、瞬く間に広がっていった。

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