純情乙女の男子模様(2)

「ヨウ、お前早く告れよ」

 癖の強い黒髪を乱しながらいつものように相談する友人と、その相手をするエスパーことメガネ男子遠藤。その二人を眺めていた、眠そうな男子、坂本の言葉は、主に黒髪男子の胸に深い矢を放った。

孝太郎こうたろう、何もそんなにはっきり言わなくても」

「エスパーは黙ってろって。ヨウ、そもそもお前の桜井さんへの態度が冷た過ぎる」

「それは本人も自覚してるんだって」

 遠藤によってフォローされてはいるが、否定はされていないためまたもヨウの心にダメージが与えられる。

「相手には気付いてもらえてないのは、分かってるな」

 いつもこの話になると逃げるように席を立つ彼が、今回ばかりは真剣な表情で話している。若干眠そうだが。

「まあ…」

「よし、じゃあ告れ」

「意味分かんな!」

「孝太郎は、告って意識を向けさせろって言いたいんだよ」

「さっすが~、渚ちゃん、分かってんねー」

「――それ、やめてって初めに言ったよね…?」

「ごめんなさい」

「……告白って…どうやってすればいいんだよー」

 もじゃもじゃになっていく髪型に、遠藤と坂本は呆れつつも助言をした。

「いつも、放課後一緒にいるじゃん」

「そこで言えばいいと思うよ?」

「…………そうか」

 どうやら彼は、今気が付いたようで。すごい名案だ、とばかりに顔を上げた。

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