先生と金魚
「サトーセンセーいますよね?」
「君は暇なのかな、
佐藤先生はいつもの時間、よく自身が受け持つ一年二組の教室で、飼育している金魚に餌をやっている。
それを見ていた隣のクラスの坂本は、いつからか先生の隣で雑談するようになった。今日も坂本は近くの席に座った。
「センセー、知ってます?」
「また金魚の話か?」
「さすがセンセー。…あのですね、金魚って、あくびするらしいですよ」
「……マジか」
「マジです。金魚があくびすると、その環境がとても良いことを表しているんだそうです」
「そうか…」
「ここの金魚はどうですか?」
「餌はよく食うぞ」
「おなか空いてますもんねー。……そういえばセンセー、下の名前ってなんですか?」
「……鉄平だが?」
「てっちゃん?」
「やめなさい」
「もしかして初めて呼ばれました?」
「自己紹介したその日から、女子からそう呼ばれているんだ…」
「それが教師の定めですよ」
「やっぱりそうなのかー…。俺の学生時代も先生をあだ名で呼んでたし…。んー」
「……センセーって、天然ですよね」
「そうなのか? ほかの先生たちにもよく言われるんだ」
餌やりが終わったのか、佐藤先生は金魚をしばらく眺めていた。
「金魚って、食べれるんですか?」
「…………今は情報化社会になっているな」
「知らないんですね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます