第25話

 残るは飛行機の手配だった。

いざとなれば、あの男に頼るしかない。私は電話で事情を話した。

「とにかく予約してコンビニ決済出来るか試してみろよ。まあダメなら俺がカードで買ってやるけど。」

 お兄ちゃんに言われた通りにネットで調べた。往路は2日午前6時35分の便、復路は4日午後20時20分。なんとかチケットは確保できたし、コンビニで支払いできると分かって安心した。

 期末テストも滞りなく終わった。東京行きが待ちきれなくて、リュックに三日分の服を詰めて準備した。親に怪しまれないように荷物は最小限にとどめた。

 夏休みが始まってからも一週間はずっとそわそわしていた。もちろん、ただその日が来るのを待っていたわけではない。美咲と西井さんに誘われてプールにも行ったし、遥に乗馬も教えてもらった。からだを動かしていないと落ち着かなかったのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る